美山亭@堀切菖蒲園 MCT 大会

増山です。

びざんてい、と読むのかな?などと話しながら、サンプルに見入った「美山亭」。

見た瞬間「これは!」と思いました。
本日はかねてから探検隊が楽しみにしていた、堀切菖蒲園アタックの日です。
第1期町中華探検隊時代に、トロさんマグロさんが堀切菖蒲園を探検されているのですが、
あまりに町中華の数が多いため、人数の集まる日に、一人一軒ずつ散らばって各店のレポートをし合おう、ということになっていたのですが、
2015年12月15日、ついにその火蓋が切って落とされました。
30分で10軒あまりを見て回れるという異常な密集ぶり(トロさんいわく、3000歩で廻れる)なのですが、
行きたい店はわりとうまくバラけて、私はこちらの美山亭に行く権利を獲得できました。
なんでも渋いおやじさんがいるとかで、ほぼその情報で決めたといっても過言ではありません。
先日町中華探検隊で、今年の各自のランキングTOP3を決めようということになって、私もほぼ確定しかけていたのですが、
こちらの美山亭に、鮮やかに結果を塗り替えられましたよ!
なぜなら、外観、内観、料理、個性、おやじさんのかっこよさと
全てを満たしてあまりある店だったからです!!!
まず、外観。

食品サンプル、手書き文字、独自のサービス。文句なしです。

続いて内観。

メニューは裏表あるんですが、なんと裏表同じ!!ここにも心を撃ち抜かれました。テーブルがやや色あせた赤という点も100点です。

赤い丸椅子。100点。

企業秘密という言葉とは無縁の、ストックを兼ねた小上がり。100点。

棒棒鶏や麻婆メン のフォントがところどころ太さが変わっているという謎の仕様。100点!

みやまめん なるメニューが赤ボールペンとマジックで何度も消されている。こういう、人間味あふれるメニュー大好き。100点。

そしてここで、アレ、びざんてい、じゃないのかな?という疑問がわきました。

この写真意味不明だと思うんですが、畳敷きの小上がりには白いカバーつきの座布団が敷き詰められていて、鏡には「美山亭さんへ」と書かれ、おそらく取引先の商店名が書かれています。この鏡、いいですよね!このの鏡にもいつも注目しているのですが、いまのところ、ないお店のほうが多いです。よってこれも加点ポイントに。

奥にはたぬきののれんがかかっています。たぬき、ふくろう、あるいは猫などをモチーフとした、素朴な民芸品や飾り物があるお店も町中華にはよく見られます。基本的に男の世界である町中華の中で、数少ない、奥さんの趣味が垣間見えるポイントです。さらに好感度急上昇。

そして!お料理がやってきました。

このブログ、感動のあまり順番前後してますが、実は本日二軒目です。

よって、ごはんを少なめにしてもらったため、卵がきんちゃく状になっているんですが、この卵がすごかった。
美味しそうなので写真を撮っていいですか?とお聞きすると、いいですよ、と優しい笑顔でおやじさんがこたえてくれました。
私は東映臭のする男性が大好きなのですが、こちらのおやじさんも、コワモテという意味ではなく、昭和の男臭さを感じさせるお顔立ちで、とても素敵な方でした。
そんなわけで、おやじさんの作ってくれたオムライスを食べ進めます。
ふつう、町中華の典型的なオムライスは、ごはんはべっちゃり系、そして薄焼き卵で全体をくるむパターンが多いですが、
こちらの卵も例にもれず薄焼きなのに、ものすごくふんわりしてしっとりしていたのです!!
料理を作ると、おやじさんはさっと出ていってしまったので、その感動をすぐに伝えられなかったのですが、
うおーーと思いながらあっという間に完食しました。具は大きめの薄切り豚肉と、シャキッと感が少し残った串切りの玉ねぎ。そしてごはんはパラパラではなくしっとりしているのですがべとついてはおらず、ケチャップで全体的に甘めの印象ながらも、肉由来なのかなんなのか、とてもコクがありました。
スープは鶏ガラとかつおあたり?塩気は薄めなのですがだしの香りがあって、アヤシイものが入っていなさそうな、清廉潔白なおいしさでした。
ちなみに、私が大好きな某店のおやじに教えてもらった、中華屋のゴミに注目せよという教えを守り
店の外を見てみたのですが、これまたご主人のお人柄を表すようなすてきなものでした。

きっちりと角度を保って並べてあります。

あんまりオムライスが美味しかったので、
おかみさんに、オムライスすごく美味しかったです〜!と話しかけました。小さな店内は、おかみさんと私の二人だけになりました。
以前他の町(失念。。)で仮店舗営業をしていて、小さくてもいいから自分の城を持ちたい、という思いで始めたのがこちらのお店だそう。
おかみさんは新潟から、浅草?の製麺所に出てきて10年住み込みで働いたそうです。
おやじさんとの出会いはまだ聞けませんでしたが、
お子さんを二階で育てながら、こちらのお店を始めて37年ほどになるとか。
息子さんも店を手伝っているそうです。
大橋昭男、大橋友昭さんあての賞状のようなものがあり、
きっとこれがお二人のお名前なのだろうと思います。
昭和の昭の字が入っているのが嬉しいです。
ちなみに店内には
黄河メン、北極メンなどの気になりすぎるメニューもあり、
入った瞬間、これは一生お付き合いする店になる!という予感がしたのですが、
細部を見ればみるほど、ますますこのお店が好きになってゆくのでした。
ABOUT ME
増山かおり
増山かおり(ますやま・かおり) 1984年、青森県七戸町生まれ。早稲田大学卒業後、百貨店勤務を経てライターに。食、街、サブカルチャーなどについて執筆。著書に『東京のちいさなアンティークさんぽ レトロ雑貨と喫茶店』(エクスナレッジ)など。