五芳斉@早稲田 豚汁

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五芳斉@早稲田
詳細はトロ隊長が書いてくださったので
半澤は豚汁について。

僕は中学生まで競技スキーをやっていて
多いときは週4とかでスキー場に行っていたのだけど
極寒のスキー場で一番おいしいと思っていたのは豚汁だった。
スキー場だと500円、ワンコインだから中学生でも気軽に買えた。
山から降りたら500円でお椀一杯の汁物は高額に思えるが
雪深いロッジにおいてはこれが最安クラスメニュー。
七味をパパッとかけて、それがうまかった。
2011年の震災の時
とりあえず、ライフラインが止まったら困ると
大量に作ったのも豚汁だった。
しっかり考えたことはなかったが僕は豚汁が好きなようだ。
豚汁はシンプルながら入っている材料の味の影響をもろに受けるから
作り方にくわえて素材も重要。汁物だけど具もちゃんと食べたいから素材の切り方、歯ごたえもかなり大事。かといってあまり奇抜な素材は使えない。
と、実は奥が深いけれど
金額はあまり高くできない。
思いのほか難しいメニューでたまに定食屋で食べるが、感動するようなものは少ない。

その豚汁に町中華で初めて出会った。
五芳斉には
「豚汁定食」はなく
プラス料金でスープを豚汁に変えられる仕組み。だからお得感もある。
僕は野菜炒め定食唐揚げ付き、んで豚汁つう大奮発。
けれどこれで800円!
シャキシャキ食感で程よい食感の野菜炒め
下味がよくついたしっかりした味の唐揚げ
いずれも優しい味で食べやすかった。
けどやっぱり注目すべきは
豚汁
味はかなり濃厚。豚の香り、脂も効いているからすごくクリーミーでした。
何より根菜が出汁となっていて本当に奥深い味。
野菜は噛み応えも満点、
食べやすさと同時に独特の個性もあった。
ゴボウを一番美味しくいただける料理は豚汁じゃないかなあ。

中華屋なのに豚汁。
しかもこれが中華飯に合う!
その守備範囲の広さにその都度ドキドキさせる町中華探検であるが
今回は特に胸が踊った。

雪山で食べた味を思う。
小さな肉片しかなかったあの豚汁があんなに美味しかったのは
あったかかったからだ。
五芳斉の豚汁もまた温かだった。
冬のうちにまた来たい。

                                       
文/半澤則吉
ABOUT ME
半澤則吉
半澤則吉(はんざわ・のりよし) 1983年、福島県二本松市生まれ。学習院大学卒業後、印刷会社勤務を経てフリーライターに。人・食・物・旅についてあらゆる媒体で執筆する。朝ドラを中心にドラマ記事を書く朝ドラ批評家、ドラマライターでもある。