東京ちゃんぽんの謎「らーめん吾妻」@町屋

 マグロ隊員、竜隊員、新加入の瀬川隊員とともに町屋探検に出かけた。
 ぼくはここ、ほとんど知らない。住みやすそうな町というのが第一印象だ。
 土地鑑のない町だとどう動いたらいいかわからなくなりがちなのだけど、町中華めぐりを始めてからはそれがなくなった。店を探しながら歩きという柱みたいなものができたために、ためらうことなく一歩が踏み出せるのだ。
 表通りから100メートルほど引っ込んだ住宅地に「らーめん吾妻」がある。
 ふつうの家の1階だ。
 それだけでもう、そうなるに至る物語があると思える。
 そのあたりのレポートは3人に任せるとして、ぼくはこの日、
 ちゃんぽんを食べようと決めていた。
 ちゃんぽんに関して自分はちょっと偉そうというか、
 常識に縛られて生きてきたなと思うのだ。
 発祥の地・長崎のちゃんぽんを絶対視し、他を認めないところがあった。
 しかし、東京には東京のちゃんぽんがある。
「吾妻」のはこれだ↓
     申し訳程度にイカの切り身が入っている以外に、
     長崎ちゃんぽんとの共通点は見いだせない。
     まず、麺がラーメンと同じである。
     餡かけになっている。
     スープに魚貝テイストは皆無。
     卵とじ風になっている。
     五目そばの餡かけ卵とじといった体なのだ。
     
     ちゃんぽんを食べたことがないオヤジが独自に開発したと言い張る
    「大宮飯店」(西荻窪 しょうゆ味)に驚愕したぼくなのだが、
     「吾妻」も似通ったところがあり、マグロ隊員の証言によれば
     他店でも同様のものが出てくるという話なので、
     これは東京風ちゃんぽんの定型なのではあるまいか。
    であれば、なぜそうなったのか、興味深い。
    東京ちゃんぽんの謎、長崎ちゃんぽんの味がわかっているマグロ隊員の協力を仰ぎ、新たな追跡テーマとしたい。
    竜、瀬川、マグロ隊員(左から)
2016.3.11訪問
ABOUT ME
北尾トロ
北尾トロ(きたお・とろ) 1958年、福岡県生まれ。法政大学卒業。裁判傍聴、古書店、狩猟など、体験をベースに執筆するライター。『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』『猟師になりたい!』シリーズなど著書多数。長野県松本市在住。