“いっぽんどっこ”とは作詞家、星野哲郎が昭和歌謡において、多用したフレーズで、意味としては独立自尊で、人のやれないことをやれってことだけど、町中華において、まさに重要な心構えとなっている。
さて、今回うかがった『すずき』さん。実は、店の前は何度も通っていて、気になっていたお店だ。
家を出るときは、チャーハンと餃子にしようかと思ったのだが、炎天下を歩くとその気も失せてきた。
赤いテントに“すずき”の文字。暖簾は赤字に白文字のラーメン。が、下に置いてある看板は、青地に、酒処、食事処とあった。
かつては、おみやげ中華をやっていたのだろうか、入り口の横に小窓があるが今は稼働していない模様。
少し、行き過ぎて、逆から見るとこんなかんじ。
1階建ての看板建築だ。ちょっと独特なスタイルだ。
店は先客1名。カウンターと、1人のテーブルが並び、テレビの方向に椅子が置かれている。
テレビに一番近いところで、先客がアルコールをちびちびやっている。3番目にこしをおろした。店主の男性がすぐに、水と箱ティッシュを持ってきた。思わず「冷やし中華ください」と言ってしまう。
スタミナ バツグン!!ピリカラ湯飯 600
まず、読み方がわからない。湯麵のタンなのか、それてもユなのか。ハンなのか。
なんてこと、考えながら15、6分経過しただろうか。冷やし中華到着。
お会計のとき、「ここ、もう長いんですか?」と聞けば、
「まあ、15年になります」
と、町中華としては比較的新しいほうなのかもしれない。
お釣りをもらいながら、「これまで雑誌に出られたことはありますか」と問えば、
「いえ、ないですよ」とよくとおる声でおっしゃる。
「それは、ポリシーなんですか、取材は受けないとの」
「いやぁー、そうじゃなくて、申し込みがないんですよ」
「えっ、それじゃ、申し込みがあれば」
「そりゃぁ、ねえ」と笑う。
僕はうれしくなって、「また、きますね、冷やし中華おいしかったです」と店をあとにした。
スキップしたい気分だ。おっさんだからしないけど。
■すずき
〒116-0014 東京都荒川区東日暮里3丁目22−7
11:30~14:00 17:00~22:00
定休日:第二第四月曜日
☎03-3807-0044
すずき (中華料理 / 三河島駅、荒川区役所前駅、荒川一中前駅)
昼総合点★★★★☆ 4.0