東池袋「サン浜名」はタイガース中華

増山です。東池袋にてソロ活動してきました!

お目当ては、高架下にある「サン浜名」。

ランチは平日のみの営業らしく、日曜の早めの時間に前を通ることが多いので、いままでその存在にまったく気づきませんでした。

なぜここをチョイスしたのかといえば、タイガース中華だから!
池袋MCTのためにしらみつぶしに食べログを見ていて見つけたのでした。
一階にはうなぎ、喫茶 などの文字もあり親戚筋のお店との話がありますが、
サン浜名はこの二階。
特にタイガースファンというわけではないのですが、唯一なじみのあるスポーツが野球のため、店主が野球好きだとなんとなく嬉しくなります。

この店が素晴らしいと思ったのは、店頭に営業時間などの情報がきちんと貼り出されているところ。

ホスピタリティを予感しながら、この怪しい階段を上ります……

店内には、どこまでも続く猛虎グッズの列。タイガースとは直接関係ない虎グッズや、なぜか美智子皇后の写真も紛れており心がなごみます。

タイガースファンだったことは一度もないのですが、これだけ並ぶと見ているうちにタイガースファンになりたくなるような気がしてくるから不思議です。

グッズのほとんどはラップで保護されており、飛び散りこびりついた油にマスターのタイガース愛を感じずにはいられません。

水と、あったかいおしぼりが出てきました!これは嬉しい。
と、水と思いきや、薄い麦茶かなにかのお茶でした。ご覧のとおりグラスの中身がうっすら色づいています。
酢の容器には「CRYSTAL」の文字。最高すぎる。

カウンターの端にいた常連らしきお客さんが、ペットボトルからドボドボ自分でお茶を注いでいるのが横目に見えました。

メニュー表はわかりやすくジャンル分けされており、
若い女性の文字らしきものと、荒々しい男性的な手書き文字とに大別されます。

メニューで特筆すべきは、サラダが異様に充実していること。
「生野サラダ」というジャンル名を冠しています。

肉ヤサイ ケチャップまぶし という無骨かつわかりやすいメニュー名もあり、そそられました。
ありえないほどのおつまみの品数や、食後のコーヒー、まさかのクリームソーダにも高揚せざるを得ません。

もう、メニュー表を見ただけで帰ってもいいほどの満足感を得ているのですが、
これを頼まないわけにはいかないでしょう。


特浜名オムライス850円。当然、餃子450円もつけます。
ひざげりさんから、量が多いので注意と教えていただいたのですが、きょうはだいぶお腹が減っているのでひるまずいってみました。
店内はカウンター席のほかテーブル席もあり、数名連れ立ったサラリーマンでいっぱいです。おやじさん1人で調理し、女性が補佐&給仕するスタイルのため、料理が出てくるのは少し遅めです。
しかし探検のためには、それもかえって好都合というもの。じっくりと卓上を観察できました。
調理中のほかのお客さんのお皿をチラとのぞいたら、赤文字で店名の入ったお皿がありました。ところがなぜか「太洋軒」の字が。提携店からもらった、もしくは店名が変わったのか? と激しく興奮しました。

タイガースグッズのみならず、まんがの所蔵量が圧倒的。町中華でもかなり多いほうです。ゴルゴ13は文庫ではなく、SPコミックスをチョイスしている点が素晴らしい。こち亀や鬼平のほか、稲中や今日から俺は!などもありました。

こちらが特浜名オムライス!カレーのようなものがかかっています。食べてみるとこれはカレーではなく、デミグラス系のソースでした。買ったものをそのままかけているのではなく、なにか一手間加えたような、若干ミルキーな風味があります。

ケチャップライスの具はこれまた珍しく、コーン、細切りの玉ねぎ、そしておそらくハムではなくベーコンが入っていました。意外なことに、このオムライスの味を最も支配しているのはコーンでした。卵がふわふわでおいしい!天津丼やカニ玉にも期待が膨らみます。

ぎょうざは綴じ目を真ん中にもってくるスタイル。自宅で作るときは扱いやすいのでついこのスタイルにしてしまうのですが、おやじさんもそうなのかな。塩気は意外にも控えめです。
食後にクリームソーダを頼んでみようかと思ったのですが、12時半をすぎいよいよ満員に近づいてきたので、この店はまた絶対に来るし、今度にしようと思って店をあとにしました。
帰り際、友達に見せたいので店内の写真を撮っていいですかと尋ねたら、どうぞどうぞと喜んでくださりまた嬉しくなりました。
隣に座ったサラリーマンらしき男性がサン浜名焼きそばを注文すると
「サン浜でーす」とのオーダーコールがあったのも印象的。

店を出ると、高架下でくつろぐオヤジ達の姿があり、東南アジアの昼下がりのようです。

おまけに、歩いてすぐのところに遺跡中華を発見。

帰りにいけふくろうを見て、今まで池袋を毛嫌いしていてごめんよ、と少し涙が出そうに。
それほどの力が、サン浜名にはありました。
ABOUT ME
増山かおり
増山かおり(ますやま・かおり) 1984年、青森県七戸町生まれ。早稲田大学卒業後、百貨店勤務を経てライターに。食、街、サブカルチャーなどについて執筆。著書に『東京のちいさなアンティークさんぽ レトロ雑貨と喫茶店』(エクスナレッジ)など。