酢豚探偵の町中華備忘録 台東区浅草橋の巻

4月8日(金)JR浅草橋駅東口改札前正午集合
探検者/北尾トロ、下関マグロ、半澤則吉、竜超

竜超です。今回の探検エリアは台東区の「浅草橋」周辺。しかし、駅付近にはさほど心惹かれる物件がないので、ひとつ千葉寄りの「両国」まで行き、そちらの散策をすることに。10時チョイ過ぎに両国駅着。言わずと知れた「両国国技館」や「江戸東京博物館」で知られる下町だが、今回はその反対側へ降りる。「横綱横丁」という路地を抜けて「京葉道路」へ。

毎度お馴染みブックオフへ入る。小型店と聞いていたが、2フロアのなかなか広い店構え。ちょっと覗くだけの予定が、1時間以上もじっくり漁ってしまった。この店の面白かったのは下町観光関連の本や雑誌が充実しているところ。下町観光に来た人が帰りがけに売っ払っていったのかしらん。もっと面白かったのは、ブックオフにいる時に、探検隊員の和貴さんからブックオフ関連の問い合わせが入ったこと。シンクロニシティ。ちなみにブックオフの隣は、お相撲さん御用達店として有名なキングサイズ洋品店「ライオン堂」。

ブックオフに長居しすぎ、ちょっとアセりながら京葉通りを浅草橋方面に進む。鼠小僧のお墓がある「回向院」もあったが、今回は時間がないので立ち寄れず。残念ッ。

道沿いに、なかなか良さげな蕎麦屋を発見。

この辺には赤穂浪士でお馴染みの吉良上野介の屋敷跡もあるので、こんなメニューもあったのです。

さらに進むと、こんなお店も。

モンゴル料理「ウランバートル」。日本料理「東京」・・・みたいな感じか。ボクは好きよ、こういう超ストレートなネーミング。変にひねったスカした店名よりもはるかにパワーがあるのだ。さらに進むと、やがて隅田川に差しかかった。「両国橋」というのを渡る。

雄大な眺めに、急いでいるのにしばし見入ってしまった。

隅田川の支流には、たくさんのボートが係留中。

池波正太郎の作品とかに出てきそうなシブい船宿も。あまりに良い風情なんで、急いでいるのにまたも見入る。

水面には、散った桜の「花筏(はないかだ)」ができていた。

春中華 舟と居並ぶ 花筏

風流人ぶってこんな句をひねっていたら、いよいよ時間が無くなってきた。アセるアセる。「ちょっと遅れるかも」と連絡を入れようかと思った矢先に駅舎が見えてきた。良かったぁ~。駅の前で半澤隊員に声をかけられ、一緒に改札口まで。ほどなくトロ隊長が到着するが、マグロ隊員が珍しく遅い。一番近所のはずなのに。立ち話していたら、ようやく到着。出がけにバタバタして遅れてしまったらしい。

本日のメンツは「MCT4」と呼ばれる基本メンバーのみ。この構成は久々である。町中華単行本の自分のパートを書き上げて共有ファイルにアップしたら、次の番のまぐろ隊員の分が直後にアップされていてビックリした、という話をトロ隊長がすると、マグロ隊員は涼しい顔で「5秒で書きましたよ。エイトマンですから」と。超スピード人間の例としてボクは「サイボーグ009」を連想していたのだが、同じオッサンでも年代差はあるのだ。

今日の巡回店の中に「十八番」というのがあったが、さっき前を通ったなぁ、と思い出す。で、歩き出した一同に「案内しますよ」と得意げに言い、先に立って歩き出すが、途中でマグロ隊員に「そっちじゃないですよ」と制止される。どうやらこの界隈には2軒の「十八番」があるらしい。ちなみにボクが見た十八番はこちら。

まぁボクの見た十八番は隅田川の向こう側だから、よく考えたら浅草橋エリアじゃないんだけどね。しかし、まさかあんな近い範囲に同名店があるとは思わないじゃないのさ。

それにしても浅草橋界隈には古き良き時代の風情を色濃く残す建物が多い。後にトロ隊長の入る「大勝軒」のビルなんてコレでっせ!

とはいえ、時代の波を抗えず、「町中華遺跡」となってしまった店もあった。よく見ると、廃業した店と隣家の間に看板が仕舞われていた。黙ってうつむいているように見えて胸が痛む。

エリア内を一巡していると、ネコたちが集ってキャットフードを食べておられた。ひょっとすると、我々のライバルである「キャットフード探検隊」の方々かも知れぬ。

そして、お馴染みのネコ好きおじさんの姿も。

あと、道を歩いていると、車道から「トロさん! マグロさん!」という声がかかる。いよいよトロ&マグロ両氏も一般人から顔を指されるほどの人気者になったかと思ったが、マグロ隊員のフェチ関連の知人であった。

さぁ、どこに入るか決める時間だ。トロ&マグロは「龍」という店に行けと言うが、よくよく考えた末、ボクは「水新菜館」という店に行くことにした。

「イベリコ酢豚」というメニューが気になったからだ。「スペイン最高峰SRC社のピュアイベリコ・ベジョータを本格中華を通じてご提供いたします」とある。なんかスゴそうだ。

最初に通った時はランチタイムで入店待ちの人たちがいたが、もう13時を過ぎているのでアッサリ入れた。ホールを仕切るのはやたらイイ声で香具師のような名調子のオジサン。次々に来るお客を躊躇なくサバいていく。カウンター席に着くやお冷とザーサイが出される。ボクは躊躇なく「イベリコ酢豚定食」950円をオーダー。しばらく待っていると、来ましたよウワサの酢豚が。

酢豚は小ぶりの皿に盛られていて、かなりお上品な感じ。野菜はタマネギ、ニンジン、タケノコ、チンゲン菜が入っている。そこにライス、中華スープが付く。スープは塩気がちょうどよく、美味しく飲める。面白いのは酢豚の餡で、甘さよりしょっぱ味が強く、とろみも少ない。初めてのタイプ。ただ、甘ったるい餡に閉口させられることも多いのでアリガタイ。

食べ終えて、店の外観を撮っていたらマグロ隊員が現れた。トロさんの店へ向かうが、まだ食べている様子なので店の前で待つことに。町中華本の話などをしていたらトロさんが来た。その後、半澤隊員も合流。「どうだった?」と訊いたら「大当たりですよ」と満面の笑み。前回の王子で大ハズレをしたので、これでプラマイゼロとなった計算だが、なんか悔しい。彼には常に「失敗でしたよ~」と言っててほしい時分がいるのだ。

油流しは、当初は近くの店でする予定だったが「ここはコーヒーがまずそうだ。きっと泥水みたいなやつだよ」とトロ隊長が難色をしましたので他をあたることに。マグロ隊員の馴染みの「おかず横丁」に入る。

おかず横丁には守護神の「カエル様」が鎮座ましましていた。

おかず横丁を抜け、日本で2番目に古い商店街である「佐竹商店街」へ。そこにある「ファミリースナック ロッキー」という70年代臭がプンプンする喫茶店に入る。「フルーツパフェ」610円をオーダー。さほど期待してなかったのだが、パフェ界最大の興ざめ材料であるコーンフレークも入っておらず、なかなかのハイクオリティ。アンズが入っているのがなんか嬉しい。

店を出て、徒歩帰宅のマグロ隊員と別れ、我々はJR御徒町駅を目指す。途中、やたら大規模なロケ隊(テレビ?)と出くわす。いつかは町中華探検隊も番組とか持ちたいものだ。・・・BSの深夜帯でいいから。

ABOUT ME
竜超
1964年、静岡県生まれ。『薔薇族』二代目編集長。1994年よりゲイマガジン各誌に小説を発表。2003年より『月刊Badi』(テラ出版)にてコラムを連載。著書に『オトコに恋するオトコたち』(立東舎)『消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』、『虹色の貧困――L・G・B・Tサバイバル! レインボーカラーでは塗りつぶせない「飢え」と「渇き」』(共に彩流社)がある。