酢豚探偵の町中華備忘録 新宿五丁目・三番街の巻

3月30日(水)11時過ぎの新宿をぶらぶら
探検者/竜超


竜超です。今回は久々のソロ活動リポートなのである。場所は新宿。といっても中心部からはソコソコ離れた五丁目。土地勘のない方のために解説すると、「新宿二丁目の靖国通りを挟んだ反対側」である。そこに「黒酢酢豚が美味い店」があるという噂を聞き、ちょっくら行ってみようと思った次第なり。

靖国通りから一本入ったところに「三番街」という商店街があって、目指す店はそこで営業しているという。では入ってみましょう。

靖国通りに向かって左手にあるのが「カフェ アルル」。「看板ネコのいる喫茶店」としてマニアに知られた店である。こないだ観たBSのドラマにも登場していたっけ。さて、今日は「出勤」されているのでしょうか?

あ、いました! 可愛いねえ。トロ隊長がいたら、今日の油流しは絶対ここになっていたことであろう。

三番街には「CAFE Live Wire 」というトークライブ居酒屋がある。ここは以前「ビリビリ酒場」といい、『季刊レポ』のイベントが開かれたことがあった。じつはボクはそれを観に行き、その交流会で『レポ』と深く関わるようになったのだ。つまり三番街が「町中華探検隊員・竜超が生まれた場所」と言えなくもないのであった。

それはサテオキ、本日の町中華である。そこは「東順永」という店で、大陸の方が営んでいる。といってもチャイナではなく、「本場の人たちによる中華屋さん」だ。内装は「THE中華!」といった感じ。店内には四人掛けのテーブルが3つ、2人掛けが2つ、6人掛けが2つあって、カウンターはない。「オフィス街の店」ということで早い時間のお客さんは少ないようだ。11時チョイ過ぎにボクが入店したら、お店の人たちが賄いを食べていた。

先週の「天安門」と同様、こちらもお店の人たちがハキハキしていて気持ちの良い店だ。メニューを見ると、「黒酢豚定食 720円」とあるので、それを頼む。ランチタイムには「チャーシューメン」がなんと「515円」で食べられるそうで、かなりの営業努力がうかがえる。新宿はランチ激戦区なので、このくらいサービスしないと他店に対抗できないのだろう。

ほどなく運ばれてきた「黒酢豚定食」は、酢豚、ライス、麻婆豆腐、福神漬け、卵スープという布陣である。福神漬けはなかなか珍しいね。

酢豚の具材はタマネギ、ニンジン、ピーマンと至極マットウな感じである。どれも薄くスライスされていて、カリッと揚がった肉との相性が良い。全体的に小ぶりだが、酢豚は肉たっぷりだし、ランチはスープとライスのお代わりが自由だそうなので、満足度は高い。黒酢餡はやや甘めだが、ワル甘い感じではなく、まぁ美味しい部類。黒酢を使うと、なんか知らんけど「気持ちの悪いフルーティーさ」が出て辟易させられる場合があるが、ここのはそれがない。サイドメニューの麻婆豆腐を適宜挟みながら食べると、味に変化が生まれて楽しいですぜ。

ご飯のお代わりを頼むと、厨房のオジサンが素早く持ってきてくれて気持ちが良い。いや、かったるそうに運んでくる店とかたまにあって、「メンドクサイなら『おかわりOK』なんて書くなよな」と思わされたりするのだ。でもここは万事に愛想良く、「また来たい」と思わされる店なのであった。うん、また来よう。

ABOUT ME
竜超
1964年、静岡県生まれ。『薔薇族』二代目編集長。1994年よりゲイマガジン各誌に小説を発表。2003年より『月刊Badi』(テラ出版)にてコラムを連載。著書に『オトコに恋するオトコたち』(立東舎)『消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』、『虹色の貧困――L・G・B・Tサバイバル! レインボーカラーでは塗りつぶせない「飢え」と「渇き」』(共に彩流社)がある。