竜超のMCT備忘録 北区十条の巻

1月19日(火) JR十条駅北口 13時集合
参加者◎北尾トロ、下関マグロ、あきやまみみこ、竜超

東京が大雪で大混乱した翌日、町中華探検隊は北区十条に集結した。前日の雪はほとんど取り除かれており、東京という都市の自己修復機能を改めて実感す。
十条は「巨大商店街」で有名な町なので、待ち合わせ時間より90分ほど早めに入り、じっくり探訪。幹の通りも興味深いが、枝葉の道にも面白い店が多い。物価も安いし、暮らしやすいだろうなぁ~。

埼京線のトラブルでトロ隊長の到着が危ぶまれるが、じき回復す。予定の13:00をちょっと過ぎてから全員集合。本日はトロ隊長、マグロ隊員、ボクの3名なり。
ぶらぶらと町歩きをしながら、エリア内の店舗をめぐる。本日の候補は2軒に絞られた。「昭和のラーメン屋」を絵に描いたような店「玉屋」と、系列店が荻窪にもあるという「三龍亭」である。
じつはあと一軒、候補はあったが、店のおばちゃんが出てきて誘ってきたので、客引き行為を蛇蝎のごとく嫌うトロ隊長が即座に却下。

歩いている途中で、あきやまみみこ隊員から「あと30分位で十条に着く」とLINEが入る。なので、それまで待つことにする。やがて、みみこ隊員が到着。玉屋と三龍亭の二択を迫ると、前者をとった。トロ・マグロ両氏もそちらを選んだので、ボクは一人で三龍亭へ。
ちなみにマグロ隊員から「さんりゅうてい」と聞いたみみこ隊員は「三流亭」とあて字したそうだが、そんなショボい屋号あるか! もっともボクは「サンリオ亭」と聞き間違えたのでヒトのことは言えんが。そんなファンシーな町中華あるか!

三流……もとい三龍亭は落ち着いた店であった。店頭では持ち帰り用のギョウザとシュウマイを売っている。ランプシェードが昭和の喫茶店みたいで趣深い。郷ひろみの「小さな体験」(1972)の歌詞に出てくるコーヒーショップを連想した。昭和歌謡マニアにしか通じない比喩でスマン。
ボクの目当ては「酢豚弁当」(1080円)である。ボクはこういう「色んな物が入ったお子様ランチ的なやつ」が大好きなのだ。待っていると奥から具材を揚げる音がしてワクワクしてくるよ。

やがて酢豚弁当がきた! ホカホカの酢豚にシュウマイ、自家製チャーシュー、漬物、生野菜などが詰まっていてウキウキしてくる。カマボコが2枚入っていて、おせち料理感もある。
メインの酢豚は、肉のカリカリ感が感じられて嬉しいねえ。チャーシューも香ばしいし、シュウマイはフワフワだ。やっぱ「作りたて」はたまらない。
お勘定を払いながら「美味しかったです」と、おかみさんに。後から入って来た若い客も酢豚弁当を頼んでいたから、ファンが多いメニューかも知れないね。

店を出て、「千曲川」という喫茶店で3人と合流。この店は、長野県民となったトロさんの魂に触れるものを持っているようだ。
ここは町中華ならぬ「町喫茶」なので、ドリンク類だけでなくフード類やデザート類も大充実で嬉しい。「うちはコーヒー専門ですよ」みたいなスカしたこと言ってたら、庶民派の町ではやってけないのだろう。そういえば駅周辺にはやたら喫茶店があるが、どれも町喫茶だ。
嬉しいなぁ。パフェだけでも3種もあるよ。ボクは季節のパフェ(660円)をオーダー。今は「イチゴ」だって。出されたものはイチゴたっぷりで、しかもムカつかされる「コーンフレーク」が使われていない。上出来なり。

油流しを終えた一行は店を出て帰途へ……とはならないのがこの日なのであった。町中華探検は、オキテ破りの第二ステージに突入するよ。そっちの舞台は銀座だ! 乞うご期待なり!


【第二部につづく】
ABOUT ME
竜超
1964年、静岡県生まれ。『薔薇族』二代目編集長。1994年よりゲイマガジン各誌に小説を発表。2003年より『月刊Badi』(テラ出版)にてコラムを連載。著書に『オトコに恋するオトコたち』(立東舎)『消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』、『虹色の貧困――L・G・B・Tサバイバル! レインボーカラーでは塗りつぶせない「飢え」と「渇き」』(共に彩流社)がある。