今日初めて町中華探検隊に参加…果たして入隊させてもらえるのだろうか?

賑やかな築地の路地から、物置のような薄暗い店の奥へ奥へと入ってゆくと、そこにひっそりと幸軒はあった。
カウンターだけの小さな店だった。
お客さん、男性1人。店員、おじさん2人。私たち、女性3人で訪問。姦しい。
黒板メニューにあった「盛り合わせライスって何ですか〜?」と訊くと、返事が無い。
あれ? 聞こえてない?
「あのー、盛り合わせライスって内容は何ですか〜〜〜っっ?」
「………」
無視である。店主に無視された。小さな店内のすぐ目の前に居るのに。
イキナリ町中華の洗礼を浴びた。
オソロシイ、町中華、オソロシイ…。
凍った空気の中、横にいた店員のおじさんが取り繕うように
「あ、チャーシューとシューマイの盛り合わせですよ〜。」
とか細い声で答えてくれた。
「お水もセルフでネ、そこにありますからネ〜。」
と教えてもらった。
何も無視しなくても良いのに…とドギマギしつつも、物珍しく店内を眺める。
注文してからセイロで蒸されるシュウマイ。
並べて置いてある、もみほぐされた麺。
黙って手早く調理する、おじさん2人。
たくさんの調理道具も年季が入っている。
ああ、町中華だ、町中華なんだなぁ〜。
「はいお待ち、盛り合わせライスねー」
まずチャーシュー3枚とシューマイ2個の皿が差し出される。
ぶ、ぶあつい! で、でかい!! ボリューミー!!!
驚く間もなく、大盛りのご飯、ネギいっぱいのスープ、刻み昆布の小皿と、山盛りしらすが出て来た。
これで850円。なかなかの食べごたえだ。
味はというと、表で小売りしているお店自慢のシュウマイも肉肉しくてなかなかだったが、
私はチャーシューにグッときた。
赤身部分のハグハグ感、トロトロ感。
味が染み込み過ぎていないお肉に、そんなに濃くないタレがかけてある。
ちょうどご飯が進む味。
肉に疲れてきたら、しらすの繊細さがいい感じに休めてくれる。
別の隊員が注文した醤油ラーメンは、懐かしくもクセになる、あの東京ラーメンの味。
想像するに、漫画「銀河鉄道999」の食堂車で出て来る、鉄郎が泣きながらむさぼるラーメン、コレだろう、と思う。
まぁ私は泣きませんが。
店を出る時に、素直に「美味しかったー!ごちそうさまでした!」と店主に言う。
店主は無言でニコッとした…ように見えた。
その瞬間、また来ようか、とふと思う。
後で隊員に聞いたが、幸軒は盛り合わせライスが名物とのこと。
…店主も無言になるワケか!
隊長、北尾トロさんたちと合流し、探検の始終を報告。
そして、隊長から一声いただきました。
「MCT(町中華探検隊)、隊員、合格!」
やった! また探検に出かけよう。
今度は誰に言われなくてもセルフでお水を汲むぞ。
(あきやまみみこ)
