酢豚探偵の町中華備忘録 カウントダウンの築地場内市場の巻

6月3日(金)11:30 築地場外市場集合
参加者/下関マグロ、半澤則吉、小倉亜希、瀬川陣市、竜超

竜超です。今回はちょうど1年ぶりの「築地市場アタック」である。前回はものすごい雨の中でグチャグチャ状態の探検をしたが、今回はその時のマイナス分を補って余りあるピーカンだ。暑いぜ。神サマはなぜに「足して2で割る」という感じにしてくれないのかと、わずかばかりの運の悪さを恨んだりして。

なぜにまた築地へ? との疑問もあろうが、まぁ要するに「場内市場の移転まであと半年」というタイミングだからです。直前になれば閉鎖を惜しむ観光客でごった返し、探検どころじゃないだろうと思ったわけだが、半年前の現時点でもすでに「観光客でごった返して探検どころじゃない」状態なのであった。せっかくなんで、活気あふれる場内市場の様子をご覧ください。

場内市場は、あたりまえだが「市場」であるので始まりも終わりも早い。ボクらはいつもよりは早い11時半に集まったのだが、それでも飲食店はすでに仕舞い支度に入っていた。悠長に選んでいる暇などはないので、マグロ隊員オススメの中華店「やじ満(ま)」に全員で入る。カウンターしかない人気店なので、先にマグロ隊員が空いた席に着いた。しばらく待つと、3つ空いたので、残るボクらも座ることができた。

半澤隊員は「ニラそば」(950円)と「焼売」(2個 300円)を注文。

ボクは「味噌チャーシュー麺」(1000円)を食べようとしたのだが、「すみません、今日はもうチャーシューが終わってしまいました」と女将さん。「えー、ラーメン屋でチャーシューが無いなんて、『洋服の青山』にスーツが無いみたいな話じゃないか!」と一瞬憤るが、しかしここは市場で、この店における「正しい客」は「競りに関わる人々」なのだ。オイラのような観光客に憤る資格はない。そもそも「営業時間4:30~13:00」の店に正午過ぎに行ってるんだから、人気メニューは売りきれてて当然であろう。

というわけで、「チャーシュー冷やし中華」(1150円)を頼もうとしていた小倉隊員共々「冷やし中華」(850円)に変更。小倉隊員は「炒飯」(670円)も頼み、これはボクと半澤と3人でシェアすることに。

待っていると、先に食べ終わったマグロ隊員と入れ替わりで入って来た男性客が「チャーシュー冷やし中華」をオーダーして「チャーシューがもう無い」と言われていた。てっきり別の物に変えるかと思いきや、「あ、じゃあ、いいや。また来ます」と即断して席を立った。なんたる潔さ! 妥協してオーダーチェンジしたボクらが唾棄すべき変節漢みたいに思えてきたよ。まぁ、たかだか中華メニューのことでここまで卑下する必要はないが。

ここの冷やし中華はタレがかなり甘め。ツンと鼻に抜ける酢の刺激はほとんど無かったね。好き嫌いが分かれるところだろうが、珍しいことだけは間違いがない。そして炒飯はチャーシュー風味の活きた素朴な味だった。ここはやっぱりチャーシューが前面に出てくる店なんだね。中華ダレの甘味は、ひょっとするとチャーシューありきの設定なのか?

店を出てもまだ12時半過ぎ。付近にもこんな渋い喫茶店があるが、場内の飲食店は軒並み13:00までなので外へ出る。

晴海通りをブラブラ散歩。勝鬨(かちどき)橋を渡るのは、昔、橋の向こうの仕事場で働いていたとき以来だから23年ぶりか。橋の上から場内市場をパチリ。

大江戸線「勝どき駅」付近の喫茶店(店名失念)で油流し。またしてもパフェが無いのでオレンジジュースで我慢。途中合流したいという瀬川隊員からの返信が無く、「もう出ようか」となったあたりで「ちょっと待った!」的にご当人が登場。そこからしばらく、探検隊の今後の展開などについて話す。瀬川隊員は「現在はブログの閲覧数が少なすぎる。もう一ケタ高くてもおかしくないはずだ」と力説し、一同「なるほど」と。それに対するプランを語った後、地下鉄駅で解散す。

追伸。今回食べられなかった味噌チャーシュー麺は食っておきたし。また、今日は入れなかった「吉野家」の一号店にも寄りたいねぇ。

リベンジするならやっぱ早朝かな。

ABOUT ME
竜超
1964年、静岡県生まれ。『薔薇族』二代目編集長。1994年よりゲイマガジン各誌に小説を発表。2003年より『月刊Badi』(テラ出版)にてコラムを連載。著書に『オトコに恋するオトコたち』(立東舎)『消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』、『虹色の貧困――L・G・B・Tサバイバル! レインボーカラーでは塗りつぶせない「飢え」と「渇き」』(共に彩流社)がある。