正来軒@武蔵小山 正来軒丼など

今回、町中華探検隊は都内有数の中密地帯と呼ばれる武蔵小山へ乗り込んだ。
2015年5月28日12時にスタート。
参加隊員は北尾トロ隊長、マグロ隊員、半澤隊員。

800mの巨大アーケードで有名なパルム商店街には目もくれず、
いっぽん外れた路地から探索を開始。

まずは 駅近の店「山福」。申し分のないたたずまいと『食事の店』という冠が素敵。
しかしお休み。残念。
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近くの「餃子の珉珉」も素通り。
数分圏内に発見したは「平和軒」。マグロ隊員の調べによると
先日チェックした五反田平和軒二代目の弟さん夫婦のお店らしい。看板の力強さが魅力的です。heiwa
町中華も多いが界隈にはラーメン屋さんも散見された。さすが中密。
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小山台小学校の方まで歩くと雰囲気たっぷりの店を発見!
ちょうどお母さんが出前から帰ってきたところで、彼女が駆け込んでいったお勝手口もいい感じ
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正面には柔道家吉田秀彦の写真が貼られている。
お献立は読み応えがあるほど豊富で、なによりその安さに驚愕。
ラーメンは350円と、ちょっと心配になるくらいに安い!
『地域の皆様に味でご奉仕する店』という味のあるキャッチコピーが光る。
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駅の方に戻ると圧倒的な存在感を放つ店を発見。
町中華なのに赤は使わず、茶と黄色という一見カレー屋を思わせるような外観。その名も「自慢亭」。
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ラーメンは700円。正来軒の倍額と、セレブ中華ともいうべき価格は店内の美しさにも反映されており、白木のカウンターは寿司屋さながら。

1本、道を反れるとまたまた個性的な店が。「明星」である。
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藍色の渋い暖簾に白文字。めちゃくちゃにかっこう良い。

パルム商店街に入るとチェーン店ばかり。チャイナ系もいくつかあった。
店舗数250というからこの通りに存在しない大手チェーン店はないんじゃないか。ゆえに町中華は見当たらず。
通り脇に以下2店舗があったくらいだった。

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ネットの情報によると、この店の先代は銀座アスター出身の実力派とのこと「中華料理 とき」。

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焼カレー&ステーキなどのメニューも魅力的な「味かね食堂」はアーケードの先っぽに。

「町中華と猫が多い街はいい街だ」
書名にしたいくらいのトロ隊員が名言が飛び出した今回。
個性派が多く迷いに迷ったのだけど
結局、「正来軒」に行くことにした。

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まずはラーメン(350円)
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茹で過ぎた麺を後乗せしてくれたのでちょい大盛り状態。残った麺を冷やし中華のタレをかけ、親父は厨房にしゃがみ短時間で昼ご飯を摂るという曲芸もみられた。
ラーメンの味はシンプルな醤油でほうれん草とメンマ、チャーシューにネギのトッピングの正統派だった。
これで350円とはかなり満足度高い。3人で2枚頼んでしまったギョウザ(300円)。
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デカイ。
キャベツがドッサリ入っていて歯ごたえもよかった。

そしてかたやき(530円)手前、正来軒丼(530円)奥
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豚バラと野菜類をピリ辛のアンで包んだ2品。これをラーメンにのっけると正来軒ラーメンになる。
親父さんの意向もありw、2品同時に作れるということで注文したのだが
意外や意外、かたやきそばと米、敷いているものが異なると、まったく違う食べ物になるから面白い。
アンの味が濃いので個人的には正来軒丼の方が好みかなあ。
ニンニク、コチュジャンという味の決め手の瓶を堂々カウンター上に置いておく(証拠写真は下に添付)
余裕はさすが! これぞ創業35年、老舗の看板メニューであった。

続いて冷やし中華(600円)
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冷やし中華にしてはかなり安い価格にも関わらず具が豪華。
卵、キュウリは細切りというよりはかなり分厚い印象、加えて、ハム、紅ショウガとお決まりのアイテム。
珍しいのは鶏チャーシュー。ジューシーで美味しく、爽やかなスープともよく合った。

近くに高校もあるし、激安価格であることから学生客が多いと思いきやそうでもないらしい正来軒。親父さんいわく「先輩が後輩を連れてこないから」。その代わり明大柔道部時代からの客である吉田秀彦氏(前出)や、近隣住民、勤め人には
多くのファンを抱えているようで
店内は13時過ぎというのに満員の賑わいを見せていた。
しかもこの店、出前を行っているという希有なお店。途中から親父さんがバイクのヘルメットをおもむろに被り、中華鍋を振りだしたのは本当に驚いた。「写真を撮ればよかった」とマグロ隊員と半澤は後悔。親父留守時にはお母さんがガツガツ料理を作っていたから、2人ともすべてのメニューを作れるのだろう。それにしても気になるのは出前のシフト。

また、面白いのが一品メニューの数々。飲み屋としても機能していることがうかがえる豊富なメニュー。
ひと言目で冷や奴を頼んでいる客もいたし、常連には常連の楽しみ方があるみたい。僕はラーメンとほぼ同価格のフランクが気になってしょうがない。
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それにしても、来る客来る客が「ショウライケン」と言って親父さんが「セイライケン」と言い直しているのが微笑ましかった。「正」は親父さんの名前から取られた文字だし、店名を冠した料理も人気というのに正式な呼び名がイマイチ定着していないのが愛おしく、逆にこの店が歩んできた35年が重たいものに思えてくる。

パルム商店街の店でコーヒータイム。
コーヒーを飲みながらも正来軒の親父さんが発する口ぐせ「バッチリでしょ」という言葉を反芻してしまった。
一度ではとても語り尽くせぬ武蔵小山の再訪を約束し、今回の探検は終了。僕はワンモア正来軒もありと思いますよ。
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正来軒
東京都目黒区目黒本町3丁目1-3

11:00~15:00、17:00~22:15
※ 月曜日は夜の部休み

文:半澤則吉

 

ABOUT ME
半澤則吉
半澤則吉(はんざわ・のりよし) 1983年、福島県二本松市生まれ。学習院大学卒業後、印刷会社勤務を経てフリーライターに。人・食・物・旅についてあらゆる媒体で執筆する。朝ドラを中心にドラマ記事を書く朝ドラ批評家、ドラマライターでもある。
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