【竜超の肉中華巡礼】町中華衰退地帯で「王道町中華」を見た!

7月8日(金)JR「西日暮里駅」改札前12:00集合

参加者/下関マグロ、半澤則吉、竜超

竜超です。今回は「西日暮里駅」界隈を探検したが、1年前に巡った「谷根千エリア」とは逆方向の「田端駅方面」を歩いたのである。

最近はあまり探検時に歩けないケースが多く、フラストレーションがたまっていたので、まず10時過ぎに「神田神保町」まで行って用足しをし、そこから歩いて西日暮里を目指すことに。
「え~、そんな距離を!?」と呆れ顔の方もおられようが、実は直線距離にするとたいしたことはないのだ。

「御茶ノ水駅」脇の聖橋(ひじりばし)を渡ってズンズン進むとじき「湯島」だし、そこからチョイと行けば、三菱財閥・岩崎家の3代当主・久弥氏が、かのジョサイア・コンドルの設計で建てた「旧岩崎邸」にぶつかる。
あとは「不忍(しのばず)通り」を道なりに進み、「道灌山(どうかんやま)通り」を右折すればすぐに西日暮里駅である。
その途中には古本屋が何軒かあるので、そこを覗くのも楽しいよ。
もっともこの日は朝早かったので、ブックオフにしか寄れなかったが。

途中、「児童公園の中に家の門がある」というユニークな民家を数軒発見! なんか毎日が遊戯気分で過ごせていいなぁ~と、ヘンな憧憬を抱く。

正午ちょっと前に集合場所に到着。
待っていると、半澤隊員が来た。彼は西日暮里駅に降り立つのは初めてらしい。
しばらく雑談をしていると、マグロ隊員も到着。家が近所のマグロ隊員が電車で来たので、出がけに何かもたついたのだろうね。

今日の参加者は3名のみ。勝手知ったる少数精鋭チームなのでどんどん進む。
が、なんということでしょう・・・! 出会うのは、すでに遺跡化した「元・町中華」の空き店舗ばかり。
チャイナは結構あるんだが、まだ息のある町中華になかなか出会えない。
「どこもチャイナに駆逐されちゃったんですかね?」
マグロ隊員に問うと、
「いや、チャイナだって苦しい感じだと思いますよ」
との答え。
なるほど、飲食店そのものが存在しづらい状況なのか。

人気のない町外れを歩いて行くと、田端駅へと続く坂道にぶつかった。
その脇は背の高い雑草の生い茂る空き地になっている。
「とても山手線の駅近くとは思えない光景ですね」と半澤隊員。
「きっと、あの草むらの中ではスケベなカップルどもがア●カンをしてるに違いない」
と、ボクが至極マットウな指摘をするも、2人ともマトモに取り合ってはくれなかった。

アオ●ン坂(←竜超命名)を登り切ると田端の駅に到着。
駅前に「義夫」という居酒屋でもないかと見回すも、見つからず。残念。あったら懐メロ愛好家で賑わいそうなのになぁ~。
駅そばには三面記事の舞台となったラーメン屋もあるが、今回は入らず(マグロ隊員はかなり入りたそうだった)。
不忍通り方面に進んで行くと、数軒の町中華が並ぶ交差点にようやっと到着。
うち1軒はほぼ満席な繁盛店だったが、我々はあえてそこを避け、空いている店を選んだ。

そこは「玉城」という。
寡黙な大将ひとりで切り盛りしている店で、先客はオジサン1人だけだった。
大将は「寡黙」というコトバが人の姿をとっているような中年男性で、どことなく遠藤憲一ぽくもある。
必要最低限の言葉しか発せず、愛想というのも特にない。
また、店内も大将同様、愛想のない造りである。
でも、町中華というのはこれが本来の姿なのだ、とボクは思うのだ。
四字熟語で言えば「質実剛健」。
腹を減らした働く男たちにエネルギーを与え、午後の仕事に送り出す油っぽいオアシス。
それこそが町中華なのだから、まさにここは「町中華の王道」であると言えよう。

マグロ隊員は「半チャンラーメン」(750円)、半澤隊員は「海老チャーハン」(800円)、ボクは「豚とキャベツの辛し味噌炒め」の定食(850円)をオーダー。
「店を探してたくさん歩く」と同じく、このところ欠けていた要素が「全員でテーブルを囲む」という食べ方である。
久々にそれが出来たので、記念撮影をば!

最後にやって来たのが、ボクの定食であった。
汗だくでたっぷり歩いて(マグロ隊員から「汗臭い」と言われてしまった)いつになく腹ペコ状態だったのだが、それを満たすに十分なボリューム!

肉もキャベツもたっぷりで、正しい町中華の食い方である「かっこむ」をガシガシやっても簡単には減らなかったね。
しょっぱくて、ギトギト。
ロハス系の方々なら眉をひそめそうな感じだが、町中華はこれでいいのだ。否、これ「が」いいのだ。

お勘定して外へ。不忍通りへ出て、上野方向へ歩きだす。
途中、こんな渋い大衆食堂が。

あまり「中華」という要素にこだわりすぎると、こういう良さげな店に寄れないので、今後は探検対象を「大衆飯屋全般」に広げてはどうか、という話を2人とする。
マグロ・半澤は「町中華原理主義者」ではなく、定義にはあまりこだわらない「穏健派」だそうなので、このプランにも賛同してもらえた。
大衆食堂だって「風前のともしびジャンル」であり、「いつまであるか分からない」という点では町中華と変わらないわけだからね。

歩いていると、御茶ノ水駅にいるというトロ隊長から「まだ西日暮里?」との連絡が入る。
なので、御茶ノ水から来やすい地下鉄千代田線「千駄木駅」近くの喫茶店「コーヒー乱歩°」に入店。
ボクは「アイスクリーム」(500円)をオーダー。

しばらくしてトロ隊長が合流。
次の仕事があるという半澤隊員が先に店を出たところで、来月開くことになった「町中華とはなんだ」(立東舎)のトークショーの打ち合わせなどを少々。

店を出てトロ隊長と別れ、上野まで行くボクはマグロ隊員と共に歩き出す。
裏道を抜けて上野公園に出たところでマグロ隊員と別れてアメ横へ。
夏用の買い物などをしてから地下鉄大江戸線で帰宅。
陽射しは弱いが、蒸し暑い中をかなり歩いたので家に着いたらグッタリ。
でもまぁ、久々に町中華探検らしい町中華探検が出来たので良かった良かった。

ABOUT ME
竜超
1964年、静岡県生まれ。『薔薇族』二代目編集長。1994年よりゲイマガジン各誌に小説を発表。2003年より『月刊Badi』(テラ出版)にてコラムを連載。著書に『オトコに恋するオトコたち』(立東舎)『消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』、『虹色の貧困――L・G・B・Tサバイバル! レインボーカラーでは塗りつぶせない「飢え」と「渇き」』(共に彩流社)がある。