亀喜@田町 半澤則吉

町中華探検隊
2/26日開催 @田町ー三田
参加者はトロ隊長、マグロ隊員、竜隊員、あきやま隊員にわたし半澤

今回は田町と聞いて僕は正直腰が重かった
と、いうのはまた先回(僕にとっては)の東十条につづき
普段絶対に乗らない京浜東北線沿い。
サラリーマンな街、というイメージの強いかの土地に
町中華というイメージはなく、半信半疑で田町を歩いたが
そこはさすがマグロ隊員のリサーチ。
「どこも行ったことがないんですよ」
と、いいながらも、出てくる店出てくる店、個性派ぞろいだった。
「せっかく5人いるのでみんなで仲良くたべましょうよ」
くらいに思っていたが
結局皆散らばり、各々のフィーチャー店に行くことに。
そう、だから田町はかなりの中密地帯かつ、良店の宝庫だったというわけだ。

半澤は迷ったあげく、見た目が洋食屋っぽい「亀喜」へ。

この店、ウリは巨大なオムライスとのこと。960円。
それじゃあ洋食屋じゃん、と思うがちゃんとラーメンセットもある。
しかし、オムライスの写真の下に名を連ねるのが「鯵フライ定食」とはどういうことだろう。

店内は13時すぎだったこともあり空いていて、おかみさんが駆け寄ってくると同時
「何にしますか」と聞かれてしまう。
「あ、あのえっとえっと」としどろもどろな半澤。
メニューを開き長考モードに入る。
結局、からあげ定食960円に決めた。
最近はMCTでも野菜、野菜とつぶやいてきたから、肉料理は珍しい。
でも「大山地鶏」と書いてあるんだもん、頼みたくなるじゃない。

大山地鶏は鳥取の人気ブランド鶏で、ジューシーな肉質で有名。
よく焼き鳥屋取材で耳にする銘柄でもある。
価格は高すぎず、質が納得のレベル、という話を聞いたことを思い出した。
まあ焼き鳥屋の昼ランチで地鶏のからあげ定食960円なら納得だけど
町中華で1000円弱はかなり高額帯だ。
しかも町中華なのにブランド鶏を押しているとは。
洋食屋っぽい外観も相まって、勝手にセレブ中華認定。

からあげ定食を待っている間、店内を眺めていて気づく。
魚系は東京湾産、かきは三陸産と産地押し。
あげくフグまで提供しているという。
ここは素材に手を抜かない、本気度高めの店なのだ。
で、しまったと思った。
店内掲示の写真に、「亀喜丸」という文字を発見。
ものによっては、自分の船で釣ってきた魚を給している模様。
なるほど、名物オムライスの下に、鯵フライと記したくなるわけっすなあ。
ほかにはキスフライもあった。
鯵フライは町中華でたまに見かけるけど、キスフライは記憶にないなあ。

お口が、肉より魚を欲しはじめたころついに来た、からあげ定!

ひとつひとつがでかい!
何も考えず、一口いく。
うまい。肉も硬くなく、さっくりとした感じ。そして香りがよい。
醤油×ニンニクのバランスが見事なのだ。
で、食べてから気づいた、いや思い出した。
からあげって、下味勝負の料理だよなあ、と。つくづく。
後から何かで味付けするのではなく、揚げる前こそ、下ごしらえこそ重要なメニュー。
そう考えさせられたのは、亀喜のからあげの味が本当に上手なからあげだったからだ。
またこの写真ではからあげの影に隠れいるが
キャベツにも驚いた。
トンカツ屋で出てくるレベル。
シャキシャキという、安易な言葉をあてがうのを躊躇うほどに
歯ざわりのよいキャベツは甘く、からあげを引き立てていた。
あと、なるほどなあと思ったのがソースと、タルタルソースが付くこと。
下味を褒めたココのからあげだが、決して濃い味ではない。
むしろ上品で、鶏肉の風味を楽しむタイプ。
無言で付け足された2種の調味料は、「ちょい足し」にも「味変え」にもなる。
カットレモンと合わせれば、一皿のからあげで、いかようにも味わえることを
店側が静かに提案してくれているのだ。

調味料関連でもう一つ。
醤油置きに、他店では絶対みないアイテムが。写真を撮り忘れ強く後悔しているが、
全テーブルになぜかイチゴジャムの小瓶が置かれていた。
しかも使われている形跡が。
どの料理とケミストリーを起こすのかは、また足を運んで知るしかないようだ。

亀喜
東京都港区5丁目26-3



文/半澤則吉

ABOUT ME
半澤則吉
半澤則吉(はんざわ・のりよし) 1983年、福島県二本松市生まれ。学習院大学卒業後、印刷会社勤務を経てフリーライターに。人・食・物・旅についてあらゆる媒体で執筆する。朝ドラを中心にドラマ記事を書く朝ドラ批評家、ドラマライターでもある。