中華料理 あおた@新馬場 中華丼など

町中華探検隊、今回は旧東海道沿いの雰囲気ある街、新馬場、北品川へ。2015年6月3日11時30分にスタート。
参加隊員は北尾トロ隊長、マグロ隊員、半澤隊員。梅雨入りの便りも聞こえ始め、雨の中での敢行となった。今回はグッとくる店があったら即決する“サドンデス制”!さぁどうなることやら。
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さっそく駅近に良さそうな店を発見。「中華食堂」と書いてあるのでどうやらラーメン屋ではないらしい。
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「味丸」は食べログ評価も高めでメニューも豊富。開始数秒でのゴールなるかと思われたが
新し過ぎるということで見送り。調べてみるとラーメン700円、ランチセットも1000円弱とセレブ中華と言ってもよい値段設定だった。町中華新興勢力は珍しいので、機会があればチェックしてみたい研究テーマではある。

一行は商店街から1本脇道に反れ、味のある喫茶「ルノナール」を発見。さっそく本日の油流しスポットが決定する。
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細い道を行くと、ちょっとした飲み屋通りに。
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「狸小路」。素敵な店名、そして素敵な暖簾。食べログによると火曜定休ということだったが、本日(水曜)はまだ営業しておらず残念。狸小路は札幌の由緒ある商店街の名前。それゆえ、サッポロラーメンでこの名を冠する店は多いようで、狛江や方南町にも同名店の存在を確認できた。
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狸の前に並べられたメニューの頭はなるほど“味噌ラーメン”から。本場の味を出しながらも、一品料理もかなり充実している。居酒屋としても利用してみたいお店だった。

商店街に戻るといかにもな看板が目に入って来た。
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「登龍」。実はここ大食いファンには有名なお店。なんとトロ隊長も以前、取材で訪れたことがおありとのこと。マンガみたいな盛り方のごはんが出てくるらしい。今日はそこまで食えないんだよなぁ、という思いは3人とも一致したのか本日は見送ることに。
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店頭には古めかしいオカモチとカブ。フォトジェニックなお店だなあ。

続いて向かったのは「来集軒」。そう、4月に探検隊がお邪魔した新御徒町のお店と同じ名だ。
http://blog.livedoor.jp/machi_chuuka/archives/1025301287
来る、集まる、と縁起のよい名前で各地に散在している。浅草「来集軒」(1950年創業)が有名なので、まだそちらに足をのばしていない半澤としては早くそちらも押さえておきたいところだ。

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しかし、まだ営業前ということで今回はパス。帰路、外から眺めると客は皆ビールを傾けていた。地域の人が昼も夜も中華を肴に酒を楽しめるお店のようだ。マグロ隊員いわく「土着中華」とのこと。この地に根ざした地元民に愛される店は定食メニューなども豊富なよう。
そして、我々が行き着いたのはココ! 「中華料理 あおた」。看板がよい感じ。雨にけぶって昭和感がさらに高まっている。
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aota2なるほどね赤に白文字とはオツですな、と思ったけれどここで違和感が。写真の右側にご注目いただきたい。

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サンプル料理を完全に隠す植木。もう、客に見せる気ゼロなのが胸に沁みる。
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サドンデス方式をとった今回であったが結局数軒めぐってしまった。
さてさてメニューはというと……

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なかなか手頃な価格の料理が並ぶ。焼きそばもちゃんと3種あるし、ご飯ものも美味しそう。麻婆鵜豆腐(夜のみ)ってどういうことだろう。と、思うところはいろいろあったが、空腹の3人は即座に注文、最終決定はトロ隊長に一任となった。と、いうわけで注文したのはコチラ。
例によって餃子(500円)×2
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透け感が◎。ニラの緑が白いお皿に映える。食べてみるとニラの香りが口の中にホワッと広がるものの、味付けは優しくて何個でもいけそうな餃子だった。マグロ隊員は「あー、コレ、コレ!」と感動。

隣のお客も食べていて、うまそうだった中華丼(650円)
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豚バラにもやし、白菜、にんじんと野菜たっぷり。面白かったのはしいたけ。アンの味が染み込みジューシーだった。ナルトとカマボコの競演というのもなかなか豪華。これにはサッパリとしたスープも付いていた。普通のラーメンも美味しいのだろうと、想像させる味。

タンメン(600円)
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スープは少々白濁しており、適度にクリーミー。白菜の歯ごたえが最高で、野菜もたっぷり。これはかなり美味しかった。独特なのは麺の細さ。スープがよく絡む。量も多過ぎず食べやすかったこともあってか、クセになりそうな一杯だった。個人的には五目そば(塩味・野菜入り)との違いが気になったがその確認は次の回にゆずることにしたい。

続いて炒めそば(600円)。
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キャベツたっぷりで歯ごたえも楽しめる一品。醤油味がこれまた優しく、細い麺との相性も抜群。野菜の使い方が上手というか調理の仕方がうまいのだろう。火の通り加減が絶妙でシャキシャキのもやしが食欲を倍加させた。

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テーブル席なのでトレードもスムーズに。炒めそばが届く頃には中華丼の半分以上を消化。ちょうどお腹が空いたというのもあるけれど、やっぱり美味しかったんだなあ。が、ご覧のようにテーブル上にお冷やのコップが見当たらない。この数分後セルフサービスであったことに気付く探検隊。お母さん、最初に教えといてよ。

そのお母さんの笑顔がよかった、と語っていたのはトロ隊長。派手な店ではないし、通りのはずれにあるのに店が混雑していたところを見ると、この店も長く地域に愛されていることがわかる。昭和36年創業というから、日本の高度経済成長を支えてきた、これぞ町中華。
以前うかがった「今むら」
http://blog.livedoor.jp/machi_chuuka/archives/1025295814もそうだけど、自分の名前で勝負してます、という店は実力派が多い。「あおた」もまた長年の歴史に裏付けされた力のある店だった。が、本日はマグロ隊員が寂しそうに言った言葉が胸に残った。「昔はもっと忙しかったんだろうなあ」店を切り盛りしていたのはお母さんと息子さんと思しき男性。そう、お父さんの存在はなかった。もちろん想像の域は出ないが、お父さんがご健在だった時は出前なんかもガツガツこなし、昼夜問わず大忙しだったのではなかろうか。「あおた」を遠く背にしながら、オカモチを抱えバイクにまたがるお父さんの姿を夢想してしまった。

そして約束どおり(勝手に3人で決めただけだが)喫茶「ルノナール」へ。
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「レスカお待ち」と、ママが運んできたレモンスカッシュ。今日は喫茶店も良い店に巡りあえた。今後の町中華探検隊の方針などを確認し探検終了。取り急ぎ町中華探検隊の略称がMCTに正式決定しました。皆様、今後とも何卒ごひいきに。

中華料理 あおた東京都品川区東品川1-35-3月-土 11時頃-20時頃(情報は食べログより転用)
http://tabelog.com/tokyo/A1314/A131405/13066294/

文:半澤則吉

ABOUT ME
半澤則吉
半澤則吉(はんざわ・のりよし) 1983年、福島県二本松市生まれ。学習院大学卒業後、印刷会社勤務を経てフリーライターに。人・食・物・旅についてあらゆる媒体で執筆する。朝ドラを中心にドラマ記事を書く朝ドラ批評家、ドラマライターでもある。