一番@三鷹

2015.10.23訪問
リポート 北尾トロ


三鷹に名前のない町中華がある。のれんはかかっているのだが、どこを探しても店の名前が見当たらないのだ。

名前のない店というのはこれまでにも遭遇したことがある。考えてみれば、町中華はその地域の人に支えられているので、名前はさほど重要ではない。かどの中華屋、学校のそばの中華屋、駅前のあそこで 用は足りるのだ。この日は町中華探検隊のメンバーと一緒だった。それぞれ好きな店に行くことになったとき、ぼくはこの店を選んだ。誰かがこういう店をカバーすることが大事だと思う。

だから味その他大きな期待はしてなかったのだが、入ってみるとごく普通の中華屋で感じがよかった。

味も良い意味で普通だった。この場所で30年以上やってるとのこと。
店主になぜ看板がないのか尋ねたら数年前の大雨の日に看板が外れてしまったのでそのままなのだと笑うのだった。ハハハ、そういうことなのか。

店の名前は中華一番だ。番号シリーズの店だね。逆に一番という名前が強く印象づけられてしまったよ。

ABOUT ME
北尾トロ
北尾トロ(きたお・とろ) 1958年、福岡県生まれ。法政大学卒業。裁判傍聴、古書店、狩猟など、体験をベースに執筆するライター。『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』『猟師になりたい!』シリーズなど著書多数。長野県松本市在住。