ふくろく@東高円寺

東高円寺のふくろく。丸の内線東高円寺と新中野のちょうど中間点の青梅街道沿いにあるこの店は駅からは離れており商店街でもない場所にぽつんとある。

地域の方が主な客だろう。カウンターのみのこのお店には行くと必ず一人くらいは昼からビールを飲んでいるオヤジさんがいる。このお店を挟むように青梅街道の両側に剣道の指導をしている学校や道場があるからしばしば利用している。

外観は暖簾がまずいい。綺麗にしていて朱色のような赤が好きだ。どんなに古びたお店でも暖簾が綺麗だとかなり期待が高まる。黄色い看板も味わいがあるし、(御満足いただける味)といううたい文句がすごくいい。実際この店の料理は本当に満足できる。今回は二回に分けてチャーハン、カツ丼、ワンタンを食べた。ワンタンはその日は残りの数が足りないそうで少なめになっている。値段は安くしてくれた。

 ここのラーメンやワンタンはスープが特に好きだ。鶏ガラの香りが立っていていかにも疲れが癒される。麺は柔らかめ、写真に写っていないがラーメン、ワンタン共にのり、メンマ、チャーシューに赤いカニカマが入る。チャーハンは香ばしい町中華らしいオーソドックスなチャーハン。

カツ丼は初めて食べたが薄手のカツはよく叩いてあり柔らかく、注文を受けてから揚げるのが嬉しい。卵でとじられてもカリカリの部分が残り美味い。肉の味も上等だ。カツ丼を食べに来たい店でもある。

数年前に二人で厨房に立たれていた奥様を亡くされたご主人は一人になっても優しい表情でお店を支えている。かつてはモテたであろう二枚目。愛情のこもった料理を出す名店と言っていいだろう。ああまたカツ丼とワンタンが食べたくなってきた。

絵と文 目黒雅也(イラストレーター)