おくとみ@稲荷町

以前から、ちょっと変わった町中華だとは思っていた。

たまたまだと思うのだが、客が入っているのを見たことがない。

というか、暖簾が出ている時に見ることも少なかった。

場所が悪いわけではなない。
台東区役所からほど近く、
浅草通より一本南の路地にお店はある。

ただ、なんとなくだが、ふらりと入るといった店ではないように思う。

意を決して入らなくてはならないようなお店だ。

というわけで午後1時を少し回ったところで来店。7/23 木曜日。

中華料理 おくとみ

なににしようか。冷やし中華は850円と少しお高め。
蒸し暑い日で、ここは冷やし中華かな。

店内に入ると、先客一人。と思ったら、店主がカウンターに座ってテレビを見ていた。
あわてて、立ち上がる店主。

自分と同じくらいか、少し上かなくらいの男性。

「冷やし中華ください」と注文すると、お冷を出して、男性は厨房へ。

おくとみ

なんと、キュウリとチャーシューを切っているではないか。

いまどきの冷やし中華は、あらかじめ具材を切って、冷蔵庫に入れているところが多いけど、
ここは注文を受けてイチから作っていくんだ。

と、男性が厨房からいなくなり、どんどんどんという音。

どうやら階段を登っているようだ。

何度も上に行ったり、降りてきたりしている。

麺を茹でる鍋に火が入れられた。

これは時間がかかりそうだね。

メニュー@おくとみ

メニューでも眺めよう。

おくとみ@メニュー

オーソドックスなかんじ。
「特製チャンポン」の特製が赤文字になっている。気になる。

しばらくして気づいたのは、裏もあるということ。

メニュー@おくとみ

こっちはご飯の部と一品料理。

実にオーソドックスな町中華。

麺があげられた。もうすぐか。

2階から持って降りたスーパーの袋には
氷が入っていた。
それで麺を〆るようだ。

どれくらい待っただろうか、10分は確実に過ぎてたと思う。
十数分。

出てきたのがこちら。

冷やし中華@おくとみ

独特なビジュアル。
横から見るとこんなかんじ。
冷やし中華@おくとみ

細縮れ麺。

味付けは独特。
冷やし中華というと、業務用の画一的な味を想像するが、そんなことはない。
めちゃくちゃ、独特。

よくわからない具材も入っている。

他の隊員も機会があれば、この冷やし中華を食べて欲しい。
そして、感想を聞きたい。
それぐらい、疑問に満ちた味だ。

そして、とにかく手間がかかっている。

オクラだけでもその調理は時間がかかっていた。2本ほどをちょっと塩で揉んで置いておき。
湯通しして、水をくぐらせていた。

 器@おくとみ

食べ終えたら、お店の名前と三桁の電話番号。
電話は2本あったようで、往時はかなり出前もしていたのか。

 会計の時、「もう、お長いんですか?」
ときけば「29年になります」とのこと。

ちょうど、昭和の終わり頃。
電話番号が8桁になる直前に作った皿かなぁ。

何度も通わないといかん店かも。

ABOUT ME
下関マグロ
下関マグロ(しものせき・まぐろ) 1958年、山口県下関市生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社勤務を経てフリーに。北尾トロ、竜超と共著で『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(角川文庫)。CSテレ朝チャンネル『ぶらぶら町中華』にトロと出演中。