岳陽@鶯谷

代々木へ行こうと、鶯谷駅に向かっていた。
MCT代々木アタックで閉まっていた店へ行こうとおもったのだが、
岳陽さんがあるのに気がついた。

ああ、近所でずっと行こうと思いながら行けてなかった。
そうだ、きょうはここにしよう。

町中華にしては珍しい青緑色のテント。中華料理、定食の文字が見える。
表にあれこれメニューが出ている。

ボーローメンってなんだろうか。はじめて接するメニューには惹かれるね。
表の写真を撮っていると、サラリーマンの方が入店。そのあとを追って入る。カウンターだけのお店。3席あいている。サラリーマンが座り、その間ひとつあけて、カウンターのはじへ。本当はもうひとつ席があるのだけれど、そのカウンターには空の丼などが重ねられている。かなり狭い店だ。
サラリーマンがチャーハンを注文し、僕はボーローメンを注文。店主の男性が復唱。ボーローメンがどんなものか聞こうかと思ったが、忙しそうなので、やめた。
忙しい理由はここ、出前もやっているようで、電話などがひっきりなしにかかってきている。2回目の出前の電話を切ったら、さきほどのサラリーマンが、それ、うちだから、このチャーハンもそこにつけといてとのこと。
もう一人客がきて、サラリーマンと僕の間に座る。鳥丼を注文。
ひと段落して、「店のやりますから、先にね」と店主。「チャーハンと、なんだっけ、鳥丼。それから岳陽丼だっけ」と言う、へえ、岳陽丼ってのがあるのか、食べてみたいなと思ったがさきほどの写真のやつがやっぱり食べたい。あ、名前を忘れちゃったよ。表に出て、メニュー名を確認。店に戻り「ボーローメン」と注文。店主、ああそうだというかんじで、しきりに謝る。忙しそうだから、チャーハンにのっかってもよかったんだな。
この店がすごいのは、狭いせいで、作る手順などがすべて見えるところ、これはおもしろい。ネギなど具材をまずは油通し。大なべで麺を茹で、スープの寸胴からすっくったものを丼へ。さきほど油通しした具材をちょっと炒めて、丼へ。
あっという間に提供される。
旨い! あんかけになっている。これは広東麺か。麺がつるんとしててうまい。こりゃ、名店だね。隣の男性の鳥丼もすごくて、どんとご飯がまず客の目の前に置かれ、そこに炒めた具材をかけて、出来上がり。
店主が鳥丼を食べている若い男性に「今度移転するから」と話していた。男性は、車が止められるかを聞いているが、店主は大丈夫だろう、ここに比べれば、と、外を見ると、なんだか怪しい気配を感じたのか、あっ、と声を出す。奥で天津飯を食べていた男性が、レンゲを持って、あわてて表へ出ていく。鳥丼の男性もあわてて、かきこみ会計をして出てった。
いろんな意味で、戦場のような店だ。会計のとき、「いつ移転するんですか」と聞けば、1月の中ばだそうだ。場所はセブンイレブンのところだというので、清洲橋通りかと聞けば、言問通りだそうだ。いまの店舗での営業はあとわずか。できるだけきたいものだ。
■岳陽
110-0004 東京都台東区下谷1丁目5−8
定休:日曜祝日

ABOUT ME
下関マグロ
下関マグロ(しものせき・まぐろ) 1958年、山口県下関市生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社勤務を経てフリーに。北尾トロ、竜超と共著で『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(角川文庫)。CSテレ朝チャンネル『ぶらぶら町中華』にトロと出演中。