半澤思い出の味「おはる」は店も丼も美しい

「行けたら行きます」

とはよく言うし、よく言われる
そしてご存知のとおり多くの場合行かないし、待ち人は来ないものだ。
6月17日開催のMCTは僕にとってまさに「行けたら行きます」のスタンスだったわけだけど僕は結局行くことにした。



朝一の取材明け、仕事がつまっていて体力の限界、条件は決してよくなかったが
門仲と聞いたら、足は向けないわけにいかない。
数年前まで働いていた印刷会社がこの辺にあった。
20代中盤から後半までを過ごした思い出深い地なのだ。
とはいえ町中華の記憶はない。
昼飯は自分でお弁当を作ってもっていくかカップラーメンという金のない日々だったし
僕以外の社員は隅田川を渡り、みな半蔵門線水天宮から帰っていたから
ちょっと一杯、ということがあっても日本橋方面に行くことが多かった。
また当時は車で営業を回っていたので
街を歩くということもあまりなかった。
土地勘はあるもののそれは車窓からの景色、もしくは地図情報によるもので
門仲そのものを語るほどの立場にはない。
が、せっかく知っている土地なので今回はアテンドさせていただきました。

マグロ隊員、竜隊員、あき隊員の記事もすでにアップされているので
各店舗についてはそちらをご確認いただければだが
門仲はなかなか粒ぞろい。
驚いたのは南光軒。
超がつくお得意様の近所で、何度となくこの通りは行き来しているはずなのに
目に入っていなかった。
町中華は独自のアンテナを張ってないと本当にひっかからない。

確かに気持ちは揺れたのだけど
僕は行く店を決めていた。
「おはる」である。
散々歩いたあとで、かつ炎天下、
多くの人がついて来るとは思わなかったが
一応「おはる」がいかによい店かをプレゼンする。
でかいipadを持っていたのになぜか使わず、スマホで
画像は逆光で見えなかったのだろう、いまいち皆さんピンとこないようで
まあ、俺は一人でも行きますけどね、と思っていたら
マグロ隊員が行動を共にしてくれた。

永代通りまで戻り、駅のある交差点から徒歩で7〜8分といったところ。
けっこう遠いが、その「姿が見えてきたときの高揚感」は
たぶん町中華の中でもトップクラス。

コカコーラの赤が効いてる。
そして改めて「おはる」という名前がよい。

近づくとこんな感じ。

説明不要
申し分ない。
マグロ隊員も存在は知ってらっしゃったようで喜んでくださった。
この店、サラリーマンのときに何度か訪れた。
はじめて来た時は当時の社長と一緒で五目ラーメンをおごってもらった。
土曜日だった。
無意味な土曜出勤がある時代錯誤な会社だったが、
おかげでこんな素敵な店に巡り会えた。
何度か車を横に止めて急いで食べた記憶がある。
五目ラーメンしか食べた記憶がない。
当時はおばちゃんが切り盛りしていたが、今はお兄さん。
マグロ隊員もブログにあげてらっしゃったがここは、客が洗い場で
サッと水洗いして丼を返すという楽しい仕組みをとっている。
そのシステムは健在でうれしかった。

マグロ隊員は終始ご機嫌。

ラーメン屋ということで、おはるを推薦するのは気が引けていたが
「いや、ここは町中華ですよ」と言ってくれた。

ジリジリとした日差しの下、頼んだのはやはり五目ラーメン

美しいなあ。
野菜もたっぷりだしこれで900円はむしろ高コスパ。
世にはがっかりな「五目」も多いけれどこの堂々とした仕上がりは感動ものだ。
ゆで卵×卵焼きというのも珍しい。
数年ぶりに食したが文句無し、おいしかった。

その後、カメラマンの山出さんが合流。
何度か来たことがあるという。
ここに自転車でこれるのはうらやましいっす。

おはる
東京都江東区永代1丁目11−11
03-3641-4609
11:30~14:30
日曜定休

ABOUT ME
半澤則吉
半澤則吉(はんざわ・のりよし) 1983年、福島県二本松市生まれ。学習院大学卒業後、印刷会社勤務を経てフリーライターに。人・食・物・旅についてあらゆる媒体で執筆する。朝ドラを中心にドラマ記事を書く朝ドラ批評家、ドラマライターでもある。