MCT門前仲町アタック 昭和30年代にタイムスリップしたような『おはる』で五目そばをいただく

実に多彩な門前仲町の町中華

さて、今回は門前仲町。
なんと午前中に『散歩の達人』の取材があった。その流れで、増山さん、半澤くんと門前仲町の駅。
半澤くんはかつてこのあたりで働いていたことがあり、今回の案内役を買って出てくれた。さらに、新たに隊員となった佐久間さんという方、このあたりが職場とのことで事前にお店情報をくださっていた。しかし、時間の関係でご本人の参加はならず。
今回の待ち合わせ場所は、清澄通りと永代通りが交差する門前仲町という交差点にある『くすり福太郎』前。
竜さんが9時59分到着。10時ちょうどにあきさん、増山さんのお知り合いのナイスガイ、MEWさんも到着し、5人で歩きはじめる。
清澄通りを北へ。モスバーガーのところを左に折れると、最初の町中華があった。
半澤くん紹介のお店。「虎と書いて、フウって読むんですよ」とのこと。チェーン店っぽいかな。中華弁当が気になった。
『虎(フウ)』の先にあったのが、佐久間さん推薦のお店、『宝家』さん。緑色の看板が印象的。まだ、暖簾が店の中にあった。
ここは、寺門ジモンの『取材拒否の店』シリーズで取り上げられていたお店のはなず。
清澄通りまで戻り反対側を見ると、中華、喫茶の看板。
『宝来軒』さんだ。ここも佐久間さんおすすめ。
シャッターが閉まっているぞ。店の前まで行ってみよう。
きょうは定休日だとか。いい感じのお店だ。
清澄通りを東に行くと、辰巳新道という横丁がある。
よさげな飲み屋が軒を連ねている。

 こんなユニークな外観のお店もあった。

大横川にかかる石島橋を渡ったところで、増山さんに電話が入る。迷っていた井上こんさんが合流するそうだ。
『南光軒』さんの近くで井上さん合流。
以前、門前仲町で町中華を探したことがあって、そのときに見つけたのが『南光軒』さん。『散歩の達人』で連載を担当してくださっているカメラマンの山出さんにうかがったところ、何度か同誌で取り上げたことがあるんだそうだ。中華と洋食を看板に掲げている店がこのあたりには多いのだと、山出さん。最近、その理由をお店で聞いたのだそうだ。まだ食料が配給制だった戦後、なんとか少ない材料でいろいろな料理を出そうということで、中華と洋食のコック2人置いている店がけっこうあったのだそう。だからこういう看板になった。いつしか、時は流れ、1人の店主が両方のメニューを作るようになったんだとか。
この日のサービス品はヒレカツ定食だそうだ。
建物もどこかユニーク。
南光軒さんの前の道を東へ歩く。見えてきたのが『三幸苑』さん。
タンメンが目立っている。半澤くんが、「やはりこのあたりは、タンメンエリアですね」と言った。そう、ここから、ほど近い木場にタンメンの名店、来々軒さんがある。
戻って『山海』さん。実はさっき、どどどっと肉体労働者系のグループが店内に入っていくのが見えた。
建物も素敵だが、オリジナルの暖簾もいいかんじだ。
「このままだといちばんピーク時に入ることになる」と愚痴る竜さん。11時集合だったが、もはや12時が近い。それを受けて、半澤くんが、演説。「あと2店舗用意しているんですが、けっこう遠いので、この近くの店がいい人はここで、もうサドンデスで入ってください。あと2店の説明をします。まず一店舗は『谷やんラーメン』です」
「谷やんがやってんの?」と僕。
「たぶん、そうでしょうね。そして、その先におばちゃんがやっている、これ、ラーメン店なんですが、『おはる』という、自分で丼を洗うお店があるんですよ」
そう言いながら、スマホの写真を見せる半澤くん。しかし、画面が日光に反射して僕の位置からはよく見えない。
増山さんと井上さん、MEWさんは『山海』へ行くようだ。そして、竜さんは『南光軒』。たぶん、竜さんは、本日のサービス品“ヒレカツ定食”を食べるはずだ。この予想は当たっていた。あきさんは、『宝家』に行ってくれるそうだ。なんだかホッとした。アタック前は、『南光軒』か『宝家』へ行こうと思っていたのだが、お二人が行ってくれるというので、レポを楽しみにし、僕は半澤くんにのっかることにした。
道すがらあきさんには、「ちなみに宝家さんだけど、ランチでは餃子はないそうです」と言うと、「看板にあるのに…」と驚いていた。

まるで映画のセットのようなラーメン店『おはる』

僕と半澤くんは永代通りを西へ歩く。半澤くんは忙しそうだ。ずっと、仕事の電話をしている。川を渡ったところで、半澤くんが「『谷やんラーメン』ありませんでしたね。閉店しちゃったのかな。あれが、『おはる』ですね」と指さす先を見て、驚いた。あー、このお店、前回、門前仲町であれこれ下見をして、バスで移動中に見た店じゃないか。ああ、ここが『おはる』なんだ。

昔、何度か来たことがあるという半澤くん。
会社員時代、営業車をこの店の前に置いて、車を見ながら食べていたのだそうだ。
たいてい五目そばを食べていたというので、僕もそれにすることにした。
どうやら、丼をここで洗うようだ。

店内にも席があるが満席のようで、僕たちは外の席で食べることに。
半澤くんは店の人に「五目そば2つ」と注文してくれた。
外のテーブルはどこもいっぱいだ。
他の客の会話が耳に入ってきた。
「平日の昼間しかやってないからな、ここ」
と言っている。夜はやっていないようだ。
麦茶も表にタンクが置かれていて、セルフだ。
以前はおばちゃんが2人でやっていたそうだが、今は男性が一人でやっている。
表で話をしていると、五目そばが到着。
「懐かしい」と麺をするる半澤くん。

「旨い!」といい顔の半澤くん。
見た目も美しいぞ。五目そば、900円。まじでおいしかった。味もさることながら、このビジュアルがなかなかいい。具材の下にはキャベツなどがあり、タンメンの上にいろいろと具材が載っているという仕様だ。
食べていると、山出さんからLINE。おはるにいると、返信したら、ほどなく自転車に乗った山出さんが現れた。職場が近いのだとか。
半澤さんは仕事が忙しいとのことで、先に帰っていった。
山出さんはラーメン550円。これもうまそう。
「前よりうまくなっている」と山出さん。
何度かきているそうだ。

油流しで、竜さんまた負ける

山出さんも油流しに参加してくれるということで、門前仲町駅方面へ向かうと喫茶店が駅の上にあった。竜さんも合流する。「煙草を吸う人がいればあれですけど、いないなら、ここけっこうモクモク系ですよ」という。「きょうは北尾トロがいなんだし、こういう日ぐらいは禁煙の店にしましょう」と竜さん。それもそうだ。じゃ、店を探そうと歩きだすも、『ドトール』はけっこういっぱいだ。全部で何人だっけ。うーん、6人だ。あー無理だね。この先に甘味処があったと竜さん。山出さんが自転車に乗って見に行ってくれる、「ありましたよ、伊勢屋さん」。僕らも急いで向かうも、そんな中、増山さんからLINE。カフェ東亜サプライ という駅の上にある喫茶店はどうかとのこと。あー、さっき山出さんが言っていたモクモクの喫茶店だ。

やっと伊勢屋さんの前まできた。「中華メニューもあるし、ここいいですよ」と竜さんが目を輝かす。写真を撮って、LINEに流す僕。
あきさんから、「 私は交差点で立ち尽くしていますが、伊勢屋で決まりですか?」とのLINE。そこで、逡巡していた竜さんだが、意を決し、店に入って、6人は入れますかと聞いている。4人は座れるそうだ。6人は無理か。じゃ、カフェ東亜サプライだね。ということで、駅まで戻る。
「また、負けちゃいましたね、竜さん」。早めにLINEでここに誘導しとけばよかったのに、みたいなことを言ったら、「そういうふうに打っている途中で増山さんのLINEが入ったんですよ」と悲しげな竜さん。
カフェ東亜サプライで僕はアイスコーヒー400円。竜さんはコーヒーゼリー550円。

悔しそうにコーヒーゼリーを食べる竜さんであった。

そして、山出さんが、これから焼き肉を食べる仕事だとお金を置いて立ち上がった。直後、増山さんも「私は貧乏焼肉ですけど、仕事で食べに行きます」と席を立つ。井上こんさんは「これから仕事で海老フライを食べに行きます」と席を立ち、その後、MEWさんも仕事だと立ち上がる。仕事のない竜さんとあきさんと僕はしばらく話して、喫茶店をあとにした。思ったほどモクモクではなかった。

■おはる
東京都江東区永代1-11-11
11:30~14:30
日曜日定休

ABOUT ME
下関マグロ
下関マグロ(しものせき・まぐろ) 1958年、山口県下関市生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社勤務を経てフリーに。北尾トロ、竜超と共著で『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(角川文庫)。CSテレ朝チャンネル『ぶらぶら町中華』にトロと出演中。