物件があったから町中華を始めた。東府中「スンガリー飯店」

この店構えだけで吸い込まれそうになる
京王線東府中にある「スンガリー飯店」。
スンガリーという店名は中国、東北地区の中心部(ハルビン)を
流れる松花江(しょうかこう)のことである。
そう、この店は満州帰りの方によって
創業された店なのだ。
満州帰り→町中華の流れに興味のある
ぼくにとっては貴重な店なのだが
場所が都下にあるせいか、隊員に呼びかけても
無反応で、ひとりで行くことにした。
定食類は600円~とリーズナブル
1972年に建て替えられたレトロな店内
ひとりで行ったらちょうど客がいない時間帯で、
お店の方といろいろ話すことができた。
スンガリー飯店は、満州帰りの初代夫妻が
1964年の東京オリンピック前に創業。
しかし、料理経験はなく、
ご主人は米軍基地に勤務、奥様は花屋をしていたという。
たまたま、この場所が平屋の空き物件になっていたのが
おもな創業理由だったというから
時代の勢いがあったんだね。
店は繁盛しまくり、1972年に
現在の建物に建て替えられた。
ショーケースや店内の照明が
レトロっぽいのは、
中クラスの中華料理店として
宴会などに力を入れていた証だろう。
現在、店は3代目に受け継がれている。
後継者不足の町中華ではめずらしいことだ。

スンガリー飯店
東京都府中市若松町1丁目1−1
営業時間 11時30分~14時30分16時30分~21時00分
ABOUT ME
北尾トロ
北尾トロ(きたお・とろ) 1958年、福岡県生まれ。法政大学卒業。裁判傍聴、古書店、狩猟など、体験をベースに執筆するライター。『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』『猟師になりたい!』シリーズなど著書多数。長野県松本市在住。