酢豚探偵の町中華備忘録 新宿区西新宿の巻

2月9日(火) 11時過ぎの新宿駅西口界隈
探検者/竜超

竜超です。今回は買物の合間に単独で、新宿駅近くの酢豚調査をしたのであった。

10時、新しいメガネを作るべく新宿駅周辺へ。なかなか結構なフレームが手頃な値段だったのでウキウキ。じつは昨日も上野の古着屋で、なかなか結構なカーゴパンツがなんと500円で買えたので、今週は買物運が良さそうだ。

検眼し、出来上がるまでの時間を使って付近の酢豚事情を調査す。2月9日は「ニクの日」だそうなんで、ガッツリ食いたいところなり。このあたりはランチ激戦区だが、酢豚の食える店は意外と少ないようだ。あちこち回っているうちに「老辺餃子館」という店を発見。盛りだくさんの酢豚のセットが「税込990円」ということなので、入ってみることに。

中は想像していた以上に広々。2人掛けのテーブル席に着くと、すかさず氷入りのジャスミンティーが出された。「酢豚」とオーダーしたあと、ランチョンマット代わりに敷かれていた紙(チラシみたいな感じ)を見たら、店の由来が書いてあった。「本場中国で180年の歴史を持つ餃子の名店」とかいうことで、何やらすごそうな感じである。

やがてメインディッシュが揃う。酢豚(黒酢)、蒸籠(せいろ)入りの蒸しギョウザ、卵スープ(豆腐入り)、ザーサイ、おひつ入りのご飯(お代わり自由)。ご飯は「小ぶりの茶わん3杯分」ほど。酢豚は、噛むとパリッと音がするほどのクリスピー系である。その分、野菜(タマネギ、ニンジン、ピーマン)は薄めにスライスされたソフト系。「肉・硬:野菜・軟」という硬軟の法則が守られていて良し。

180年の歴史を誇るという蒸しギョウザはかなりのモッチリ系で、「まんじゅうの皮とモチの中間」くらいの食感。「もしや両者の禁じられた恋の結果とかだろうか?」などと独り妄想す。「ニンニク不使用」が売りだそうで、女性も大勢食べていたね。

酢豚はことのほか肉が多く、そこそこのお大尽食いをしてもなかなか減らない。ニクの日にはピッタリだ。ご飯のほうが無くなったのでお代わりを頼む。なんとおひつが当初と同じ量で帰って来たので、結果、「小ぶりの茶わん×3×2」を食うことになった。分かりやすく言えば「丼メシ大盛り2杯」だ。まぁ、残さず食ったんだけどね。

食べ終わると、デザートの杏仁豆腐と、コーヒー(アイスを選択)が来る。杏仁豆腐は、まるでレアチーズケーキのように濃厚で、ねっとりとした舌触り。初めての食感だが、ちょっとクセになりそうな味。これだけ飲み食いして1000円以下なんだから、やっぱチャイナのコスパの良さは半端じゃないなぁ。

メガネ店に戻って完成品を受け取ってから古本を中心に数店覗く。探していた雑誌が首尾よく見つかったりして、やっぱ今日は買物運がいいわ。前夜、御徒町の名居酒屋「真澄」でたらふく飲み食いしたうえでの丼メシ2杯だったので、やっぱり苦しい。新宿エリアをぐるぐる2時間くらいも回ったのでたいぶ腹ごなしにはなったが、今後は2杯も食うのはやめとこう。せめて1杯半だな、ウン。

ABOUT ME
竜超
1964年、静岡県生まれ。『薔薇族』二代目編集長。1994年よりゲイマガジン各誌に小説を発表。2003年より『月刊Badi』(テラ出版)にてコラムを連載。著書に『オトコに恋するオトコたち』(立東舎)『消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』、『虹色の貧困――L・G・B・Tサバイバル! レインボーカラーでは塗りつぶせない「飢え」と「渇き」』(共に彩流社)がある。