光陽楼@荻窪 生卵or焼き海苔と町中華

                
青梅街道と環八が交わる四面道の近くに光陽楼はある。
駅からは離れているがバス通り沿いの商店街で、長年営業中。
手作りのバス停。時刻表のところにメニューが張ってあった。
非常に好ましいというか、昔風のアイデアが店にマッチしている。
今日はぼくと半澤隊員のふたり飯。半澤隊員に渡すものがあり、
ならば彼の住む荻窪で昼でもとなったのだ。
張り切り過ぎて11時集合にしたら、まだ開店前だった。
なので、先に喫茶店に入り、それから飯の流れに。
町中華話をしていたら、待ち時間など一瞬ですぎる。
この外観、完成度が高いと唸る。
自販機がなかったら高度成長期の雰囲気だよ。
どうでしょう?
しかし、どっこい2015年の暮れも元気に営業している。
入ってみたら店内は改装されていた。
12時5分、先客3名だったのが、10分後には満員になった。
うま煮定食と餃子を注文。
半澤隊員はかに玉定食。
なのだが、上と下の写真をよく見て欲しい。
うま煮定食には生卵、カニ玉定食には焼きのりがついているのだ。
メニューをよく見ると、
ライス、スープ、お新香、卵か焼きのりがつく、と書かれていた。
隣の客も定食を食べつつ、卵かけごはんにしている。
独自のサービスである。
なんだろうかこれは。
お得感の演出か。
たしかに生卵がつくとちょっとうれしい気持ちになる。
そんなに食べたくもないけど、食事の後半、
味に変化がつけられるし、まぁ残すのもなんだかね。
海苔も似たような役回りか。
いずれにせよ、ふたつとも和食の朝食メニューでしょう。
なんか定食にもうひとつ引きが欲しいと
光陽楼は考えたのかもしれない。
手間をかけずに喜んでもらえるものはないかと。
まるで中華ではないのだが、これはこれで悪くない。
光陽楼は美味しい店だ。リピートしたくなる。
でも、なにがそうさせるのか。
店を出て半澤隊員と考えた。
半「際立つ個性はないわけです」
北「忘れられない味って感じじゃないよね。そのかわり穴もない」
半「清潔ですし、感じもいい。でも、思うに…」
そうなのだ。我々の頭には海苔と卵がインプットされたのである。
そんなありふれたもんで、と思わないでもない。
やれやれ、日本人だねぇ…。
ABOUT ME
北尾トロ
北尾トロ(きたお・とろ) 1958年、福岡県生まれ。法政大学卒業。裁判傍聴、古書店、狩猟など、体験をベースに執筆するライター。『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』『猟師になりたい!』シリーズなど著書多数。長野県松本市在住。