天好@浅草

浅草寺二天門近く、馬道通りにあり天好さん。
前から気にはなっていたが、浅草ローラー作戦をやらなければ、一生入ることがないお店なのかもしれない。
見た目は、町中華だけれど、黒板を見れば、ラーメン専門店とあるではないか。
まあ、いいか。
店内はけっこう広めだが、混んでいた。
おろおろしていると、カウンターの向こう側から大将が
「お好きな場所へどうぞ」とおっしゃる。
カウンター席がけっこうあいていて、そこに座った。
テーブル席はほぼ満席。
若い男性と女性がカウンターにいた。
缶コーヒーを飲みながら、麺をすすっている。
彼らは中国人観光客の添乗員のようだ。
「ダンナさん、なんにしましょう」と言われ、改めて、メニューを見る。
たしか、さっきの黒板では最初に書いてあった豚骨ラーメンにする。超濃厚って書いてあるので、少し心配。
メニューがもう一枚あった。
こっちは豚骨ラーメンが最初に書かれていて、
おすすめになっている。
添乗員の男性客に大将が「500円なんかでやってるとこはないんだから、安いんだからうちは」とアピールしている。と、豚骨ラーメン到着。
意外といっては失礼だが、普通においしかった。
脂身が多いチャーシューもけっこうおいしい。
が、食べ始めると、奥の中国人観光客が会計を済ませて、続々と出ていく。
いくつかのグループがあるようだ。
出ていくときに、何人かがガンガンと背中に当たっていく。
カウンターと通路の間が狭いのか。
ちょっと信じられないくらい当たる。
こちらはコントのようにラーメンをすすろうとして、当たられ、
ふっ、と麺を吹き出す。
あらかた中国人観光客が出ていったと、思ったら、すさまじい勢いで、中国人の夫人が戻ってきた。自動ドアの押すがわからないのか、押すと書かれたところをもっと、引き開けようとしている。何度かガンガンやってあいた。当然のように僕にガンと当たって、
女将さんのところへ行き、なにか大声でまくし立ててる。
ジェスチャーはラーメンを食べるしぐさ。
なにか、忘れ物か、いったいなんの騒ぎから思ったら、
奥の中国人らしき若い男性が(こちらは観光客ではなく地元っぽいお方)、
ひとことふたことご婦人に話しかける。
と、夫人は納得し、出ていった。出ていくときも僕にぶつかる。
ほとんど、食べ終えたとき、2グループが入ってきた。
身構える僕。
あれ、3人のグループ2組が僕の後ろを十たけれど、誰も当たらない。
奥の席に座った中年の男性グループの1人が
女将さんに「タバコ大丈夫なの?」と聞いている、ああ、日本人か。
「ああ、大丈夫ですよ」と灰皿を出している。
もう一組は家族連れのようで、こちらも日本語で会話している。
なるほど、狭すぎるというわけではないんだね。
国民性の違いか。
お勘定、500円を支払う。
これ、500円なら、CPは高い。
それに、なんだかおもしろいお店だ。
また訪れたい。
ただ、町中華ではないな。
■天好
111-0033 東京都台東区花川戸1丁目15−7
定休日:火曜日
ABOUT ME
下関マグロ
下関マグロ(しものせき・まぐろ) 1958年、山口県下関市生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社勤務を経てフリーに。北尾トロ、竜超と共著で『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(角川文庫)。CSテレ朝チャンネル『ぶらぶら町中華』にトロと出演中。