竜超のMCT備忘録 大田区蒲田の巻

10月27日(火) JR蒲田駅中央改札 正午集合
参加者◎北尾トロ、下関マグロ、半澤則吉、竜超

今回むかうのは大田区大森…の予定だったが、マグロ隊員お目当ての店が定休日だということが事前にわかったので、探検エリアを急きょ隣接する「蒲田」に変更。ボクが蒲田に足を踏み入れたのは、たぶん平成になってからは初なり。

例によって現地に早入り。三鷹の時と同様、2時間前倒しである。事前にネットで古本屋情報をあたったところ、これといったところが見当たらなかったので、東口のブックオフをひやかす。サイトでは「小型店舗」とあったが、行ってみると2フロアを使ったなかなかゆったりした造り。雑誌を2冊ほど購入。
その後、裏道をブラブラとロケハンしたが、あまり町中華ぽい店は見当たらず。なんせ範囲が広いので、漠然と歩いても当らないのである。

正午ちょっと前に待ち合わせ場所におもむくが、誰もおらず。「…え、ひょっとして日にちを間違えた?」と不安になってLINEを確認するも、間違ってはおらず。気付かなかったが、トロ隊長が5分、半澤隊員が10分遅れるとのメッセージが入っていた。

「そんなら、ま、地理を確認しとくか」と改札脇の地図を見ていたら、何やら左側から異様な視線が。パパラッチかと思ってそちらを向くと、マグロ隊員がカメラを構えていたのであった。
「はい、一枚いきます」というのでそれっぽい表情を浮かべると、「イマイチ」と却下。雰囲気が変わるようメガネを外してみても「良くないなぁ…」。すいませんね、カメラに向けて満面の笑みは浮かべにくい性分なんです。

マグロ隊員によれば、蒲田というのは「餃子の聖地」なんだそうだ。へー、そーなんだ。ボクにとっての蒲田は「行進曲」か「どっきりカメラ」だよ。ちなみに蒲田は、さっきも言ったように広いので、今日は東口エリアのみを回るという。

やがてトロ隊長が到着するが、半澤隊員がいっこうに現れない。不審に思ったマグロ隊員が確認すると、なんと今日回る予定の店のひとつに、すでに行っているという。こちらが「約束の場所で待ってる」とちゃんと伝えなかったので、先に出発していると思っていたらしい。

駅付近で無事に合流。今日も例によってMCT4なり。ぶらぶらと道を行くと「呑川(のみかわ)」という河川があり、マグロ隊員が「ここは飲めるくらい水がキレイだったのでこの名が付いたんですよ」と解説を。しかし、そこにかかっている橋が「あやめ橋」なので、「誰かに飲ませて殺(あや)めてたんじゃないですか?」と、ヤなことを言ってみる。川だけに、話に水をさしてみました。

今回はエリアを絞ったので割と早めに数店を回れた。途中、歌舞伎町のポン引きを凌駕する圧を放ちながら客引きをする飲食店のおばちゃんがいた。蒲田というのはなかなかの激戦区のようだ。

やがて、本日の後略店決定タイム。今回はトロ・マグロ組と、竜・半澤組に分かれて、2店攻めることに。トロ・マグロ組は駅からすぐの「寶華園」、そしてボクは「第一印象から決めてました!」的な感じで「百番」という店に。ここは昔、トロ隊員が冷やし中華の取材で来たことがあるそうだが、なんか定食類が美味しそうなのだ。

ドアを開けるや、人当たりが良くてキビキビとしたおばあちゃんが接客してくれた。とても感じの良い店。店内はコンパクトで、テーブルは小さめ。中華店というより、喫茶店みたいな感じなり。
ボクは「ミックスフライ定食」、半澤隊員は「野菜ラーメン」、そしてトロ隊長が「絶対食べといて」と言っていた「冷やし中華」を。ここの冷やし中華はスープがジュレになっていて、普通のものとはひと味違うという。

まずやって来たのが冷やし中華だ。ジュレスープに酸味はあまりなく、柔らかい味わい。マヨネーズがかけられ、コーンがトッピングされたエリアもあって、ここは非常にまろやか。一皿で色んな味わいが楽しめてお得かも。

ミックスフライはサクサクな食感で、本式の洋食屋っぽい感じ。他業種が無理やりに作った風ではない。さっき「中華屋というより喫茶店ぽい店構え」と書いたが、やっぱりベースは「洋」なのかもしれない。

しかし中華もなかなか美味しくて、半澤隊員は気に入った様子。面白いのは定食の汁物で、味噌汁かと思って口を付けたら青物の入った中華風スープだった。

店を出て、まだ食べ終わらない様子のトロ・マグロ組と合流。あちらのセレクトした「寶華園」は王道的町中華だったそうで、なかなか満足げな様子。
油流しをすべく喫茶店を探すがいいところがなく、仕方なく駅を越えて西口へ出る。ちなみに蒲田駅の西口には、いまや都内で1店舗となった「山田うどん」がある。
アーケードタイプの商店街の山田うどん付近に、やたら昭和チックな喫茶店を発見! タバコはOKで、しかも他に客はいない。

貸切状態の店内で、町中華探検隊の2016年の展望を語る。来年はかなり攻めの年になるようなり。色々とやることが増えそうだが、面白そうなことはとりあえずやっとくのが竜超スタイルなのだ。

ABOUT ME
竜超
1964年、静岡県生まれ。『薔薇族』二代目編集長。1994年よりゲイマガジン各誌に小説を発表。2003年より『月刊Badi』(テラ出版)にてコラムを連載。著書に『オトコに恋するオトコたち』(立東舎)『消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』、『虹色の貧困――L・G・B・Tサバイバル! レインボーカラーでは塗りつぶせない「飢え」と「渇き」』(共に彩流社)がある。