酢豚探偵の町中華備忘録 新宿~中野坂上の巻

4月12日(火)新宿西口大ガード前正午集合
探検者/北尾トロ、下関マグロ、竜超

竜超です。今回はライトな探検を、ということでJR新宿駅前から山手線の外側エリアを巡回したのであった。参加メンバーは長野から到着したてのトロ隊長、マグロ隊員、そしてボクの三名。久々の御三家探検である。

まずは西口繁華街から。ランチ激戦区だけに大小様々な店がひしめき合っている。半世紀ほど営業した後、次代に継承された店も中にはあった。町中華としては稀有な「世代交代継続店」である。これが可能となったのは、客足が多い好立地だからだろうか。マグロ隊員が早くも1軒目で「ここにしましょうか」と言いだしたので、「それでは探検ではなく、単なる新宿ランチにしかならないでしょ」と、トロ隊長共々即却下。

東京メトロ「西新宿駅」付近を覗いた後、高層ビル街へ。なぜだか可愛いポニーが二頭いて、ランチタイムに密かな癒しをもたらしていた。

やがて「十二社(じゅうにそう)通り」に入る。昔はこの通りに天然温泉施設があったがすでに閉鎖。しかし十二社通りといえばやはり漫画家である。昭和40年代には例のトキワ荘関係の作家たちの仕事場があったし、つのだじろう氏の生まれ故郷でもある。つのだ氏はここにある自宅からトキワ荘へ通っていたのだ。つのだじろうの出身地ということはつのだ☆ひろの出身地でもあるわけだが、町中華とは全然関係ないのでこの話はこのへんで。

ちなみにこの通りには「雨の日は水餃子が無料」と謳う「天然坊」なる店がある。しかし、この日はあいにくと好天。町中華探検隊は天気に恵まれることが多く、前日が悪天候でも当日になると晴れたりする。唯一の悪天候は昨年6月の築地のみ。あの時はハンパない雨の中を回ってシンドかったなぁ~。

大江戸線の「西新宿五丁目」付近まで出て、「たばこ屋軒中華屋」という店を見る。たばこ屋の個性が強く、よくよく見ないと中華屋だとはわからない。そこを過ぎて神田川まで出て、「東京工芸大学」の脇を抜けて住宅街の坂道を上る。裏道のさらに裏みたいなところで静かに営業しているのが、マグロ隊員が行きたがっている「ミッキー飯店」である。

じつはここはボクも以前、散歩中に発見し、注目していた。なにしろ「ミッキー」である。これほど中華にそぐわない店もあるまい。その時はVOW的な領域の店かと思っていたのだが、真相はそうではなかった。ミッキーは正式には「盈喜」と書くのだとか。大陸帰りの元・軍医殿がつけてくれたそうだが漢字だと誰にも読めなかった為、カタカナ表記になったのだそうだ。以上は食後、トロさんが店の大女将から聞いた話。

トロさんは風邪気味でもう歩きたくないと言うし、今日の探検エリアはかなり広範囲で店と店の間がずいぶん離れてるので、ボクもここにすることに決定。久々に複数での入店となった。マグロ隊員は名物だという「ミッキーライス」と「焼き餃子」。トロ隊長はサービスランチの「半中華丼+ラーメンセット」。ボクは「半生姜焼きライス+ラーメンセット」だが、ラーメンを味噌にしてもらった。

どのメニューもボリュームがなかなかのもの。日・月の強烈な気温差で風邪を引いたというトロ隊長だったが、頼んだものは完食できたのだから、まぁそんなにひどくはないだろう。

食べ終わって外へ出る。ミッキー飯店は「モヤモヤさまぁ~ず」に登場したそうで、表にそのときの写真が貼ってあった。さらに「紙兎ロぺ」にも出たといい、そっちの写真は店内にある。

青梅街道まで出て「カフェ ドエル」という喫茶で油流し。残念ながらパフェは無かったのでケーキセット。

町中華単行本に関する話をアレコレ。なんとかGW終了までには脱稿しなければ。そして「町中華探検隊・著」という初の単行本を話題にしなければ。この本が当たるか否かで、今後の我々の活動がどうなるか決まるのであるよ。

ABOUT ME
竜超
1964年、静岡県生まれ。『薔薇族』二代目編集長。1994年よりゲイマガジン各誌に小説を発表。2003年より『月刊Badi』(テラ出版)にてコラムを連載。著書に『オトコに恋するオトコたち』(立東舎)『消える「新宿二丁目」――異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』、『虹色の貧困――L・G・B・Tサバイバル! レインボーカラーでは塗りつぶせない「飢え」と「渇き」』(共に彩流社)がある。